数mm角以下と小さい「ゴマ粒大」の無線ICとアンテナを組み合わせたモジュール(図1)。次世代バーコードとして注目を集めるほか,入退出管理や製造工程管理,資産管理など幅広い分野での応用が期待されている。実際,「2005年日本国際博覧会(愛知万博)」では,日立製作所の「ミューチップ」を埋め込んだタグが入場券として利用された。また,一部の建材に同タグを埋め込み,閉幕後のリユースやリサイクルの状況追跡にも利用した。

 無線タグには電池を搭載しタグ自らが電波を発するアクティブ型と,電池を搭載せずリーダー/ライターから受けた電波で起電するパッシブ型がある。現在,注目を集めている無線タグの多くはパッシブ型。主な通信周波数帯は13.56MHz帯やUHF帯,2.45GHz帯などがある。中でもUHF帯は通信距離が3m~5mと長く,一括読み取りが可能であるため,流通事業者を中心に注目されている。

 無線タグのIC部分に集積されている回路はいたってシンプルである。データを格納するメモリと無線通信用のRF回路,そしてこれらをつなぐロジック回路が基本構成である。「リーダー/ライター」と呼ばれる読み出し/書き込み装置が発した電波を,外付け(あるいはチップに集積)のアンテナを介して受け取る(表2)。このほか,周囲の温度や圧力などを測定して発信できる各種センサを内蔵した製品や,マイコンを搭載した製品,電池付きで強力に発信できる製品もある。最終製品としての形状や大きさは様々で,カード型やコイン型,紙にアンテナを印刷したシール状のものなどがある。

無線タグの構成
図1 無線タグの構成
2002年2月25日号より抜粋)

主な種類
表1 主な種類
2002年2月25日号より抜粋)

無線タグに使う主要な周波数
表2 無線タグに使う主要な周波数
2002年2月25日号より抜粋)