無線タグのなかで,波長が比較的長いUHF帯を用いた無線タグ(図)。その特徴から,物流向け無線タグの本命とされている。主な特徴は,

1.ビームをそれほど絞らずに通信距離を3m~8mと長くできるため,部屋全体など広い範囲をカバーしやすい

2.電波が,商品の梱包に利用するダンボールなどの紙や板,プラスチックなどを通り抜けやすく,しかも2.45GHz帯無線タグなどに比べて電波がモノの裏側に回り込みやすいため,商品の読み取り率が高い

3.国際的に利用が進みつつある

の3点が挙げられる。

 米国の物流管理では,Wal-Mart社や米国防総省などが導入を進めている。日本でも,UHF帯無線タグ用の周波数が2005年4月に利用可能になったことで本格的な利用が始まりそうだ。既にヨドバシカメラは,2006年5月末にUHF帯無線タグを納入商品の検品などに導入することを明らかにしている。

 UHF帯無線タグは,商品の流通管理以外の分野でも幅広い応用が見込まれている。例えば,人や車両の入退場管理,空港での手荷物管理,文房具など多量の水分を含まない商品の小売店のレジでの一括読み取り,などである。

図 国内では,UHF帯の高出力用途として…
図 国内では,UHF帯の高出力用途として952MHz~954MHzの2MHz幅が解放される。米国で利用が始まったUHF帯と周波数が異なることに加え,周波数幅が大幅に狭くなる。このためキャリヤ・センスの義務付けや送信/停止時間の規定など,電波干渉を回避するための日本独自の規定が設けられる

表 UHF帯無線タグの無線インタフェースの主な仕様の比較
表 UHF帯無線タグの無線インタフェースの主な仕様の比較
(図,表とも日経エレクトロニクス2005年10月10日号より抜粋)