DVDの次世代を担う光ディスクの規格の1つ。元々は「AOD(Advanced Optical Disk)」という開発コード名で呼ばれてきた。
HD DVDの最大の特徴は,現行DVDのディスク構造を踏襲したこと。具体的には,DVDと同じ「0.6mm基板張り合わせ方式」を採用する。厚さ0.6mmの基板を2枚張り合わせたディスクを,開口数(NA:numerical aperture)が0.65の対物レンズを使って記録再生する。
このことから,HD DVD機器はDVDとの再生互換性の確保が容易であるほか,ディスクの製造にかかるコストを抑えられるといった利点がある。大容量化を重視してディスク構造に「0.1mmカバー層方式」を採用したBlu-ray Discとは対照的である。HD DVDは,0.1mmカバー層方式と比べ記録密度を上げにくい欠点を補うため,信号処理にPRML(partial response maximum likelihood)方式を採用している。
再生専用媒体規格として「HD DVD-ROM」,書き換え可能な媒体規格「HD DVD-RW」「HD DVD-RAM」,追記型媒体規格「HD DVD-R」を用意する。HD DVD-ROM,HD DVD-RW,HD DVD-Rの容量は単層で15Gバイト,2層で30Gバイト。HD DVD-RAMの容量は単層で20Gバイト,2層で32Gバイトである。ただし,記録可能な媒体はいずれも規格化作業が終了していない。今後,HD DVD-R,HD DVD-RW,HD DVD-RAMの順に規格化が進む見通しである。
さらに,DVDとHD DVDの両フォーマットに対応した再生専用媒体規格として,片面ディスクに1層のHD DVD(15Gバイト)と1層のDVD(4.7Gバイト)を載せた「ツインフォーマットディスク」を用意するほか,両面ディスクに2層のHD DVD(30Gバイト)と2層のDVD(8.5Gバイト)を載せた「コンビネーションディスク」を開発中である。
著作権保護方式は「AACS」,対話型機能には「iHD」を採用する。映像符号化方式はMPEG-4 AVC(H.264)/VC-1/MPEG-2に対応する。