advanced access content system

 Blu-ray DiscHD DVDといった次世代光ディスクで採用する著作権保護技術。コンテンツ・プロバイダーである,米The Walt Disney Co.と米Warner Bros. Entertainment Inc.,コンピュータ関連企業の米IBM Corp.と米Intel Corp.,米Microsoft Corp.,AV機器メーカーである松下電器産業とソニー,東芝の計8社が共同設立した「AACS LA」が仕様を策定している。AACS技術はAACS LAを通じてライセンス提供される。

 AACSの規格書は「Version 0.9」の時点で3部構成になっている。媒体の種類によらない共通仕様や暗号化方式などを記述した「Introduction and common cryptographic elements」と,再生専用媒体に向けた「Pre-recorded video book (format-independent)」,記録可能媒体に向けた「Recordable video book (format-independent)」である。

 AACSは,再生専用のDVD-Videoに導入されたCSSやDVD-RAMおよびDVD-RWなどで使うCPRMと位置付けは似ている。しかしその内容は基本部分から再構築している。暗号化強度を高めることはもちろん,CSSやCPRMでは装置や媒体内にとどまっていた保護の対象範囲を,インターネットや家庭内ネットワーク,デジタル放送に広げる。媒体は物理フォーマットに依存しない。小型メモリ・カードなどにも使える。

 加えてCPRMなどで備えていた機能の改良も進める。例えば,著作権保護のルールに従わない不正な機器を使えなくする機能である。CPRMでは2次元マトリクスのMKB(media key block)を媒体に埋め込んでいた。不正な機器を発見した場合,その機器が利用する鍵データが無効になるようにMKBを加工し,その後に量産する媒体に埋め込むことで暗号化されたコンテンツを正しく復号化できなくする。ただしこの作業を繰り返すと,確率は低いが対象外の機器まで無効化する恐れがあった。AACSが採用した2分木の「NNL tree」構造のMKBにはその懸念がない。原理的には,膨大な数の機器の中から1台のみを選んで無効にしたり,逆に1台を残してほかの機器をすべて無効化したりできる。

図1 AACSの適用範囲
図1 AACSの適用範囲

図2 AACSの主な特徴
図2 AACSの主な特徴
(図1,図2とも2004年8月2日号より抜粋)