Thunderboltを搭載したMacBook Airの新機種
Thunderboltを搭載したMacBook Airの新機種
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 パソコンやスマートフォンなど、各種デジタル家電機器を相互に接続する高速インタフェースに関しても、2011年は大きな動きがあった。

Thunderboltが姿を現す

 なんといってもこの1年で最も注目を集めた話題は、Apple社が発表した「Thunderbolt」(サンダーボルト)だろう。片方向で10Gビット/秒の高速データ伝送チャネルを2チャネル備えるこのインタフェースは、Apple社が2011年2月に発表した新型MacBook Proに、業界で初めて搭載された(Tech-On!の関連記事)。

 Apple社はその後、薄型ノート・パソコンであるMacBook Airや、ディスプレイなどでもThunderbolt対応を次々と進めていった(Tech-On!の関連記事)。

 HD画質の映画コンテンツを、わずか30秒程度でやりとりできる高速性を持っており、映像記録装置やRAIDシステムなど、映像制作関連の周辺機器などで対応が始まっている(Tech-On!の関連記事)。

 Thunderboltは、もともと米Intel社が「Light Peak」という開発コード名で開発を進めていたもの。当初は光信号を使う光インタフェースになると見られていた。しかしApple社は、銅線ケーブルを使う電気信号インタフェースとして採用している(Tech-On!の関連記事)。内部で利用するIntel社製の信号処理LSIは、フロントエンド部分を変更することで、電気信号でも光信号でも制御できるように設計されているようだ。

ソニーは光インタフェースに活用

 このIntel社製の信号処理LSIを使い、光インタフェースを実現したのがソニーである。同社の薄型ノート・パソコン「VAIO Z」の新機種で、専用の外部ドッキング・ステーションと接続するインタフェースに、Light Peakベースの技術を活用した(Tech-On!の関連記事)。VAIO Zの内部では、プラグやレセプタクル、光送受信モジュールなど、ノート・パソコンの外部インタフェースに光信号を活用するための様々な工夫が凝らされていた(Tech-On!の関連記事)。

 同じIntel社製の信号処理LSIを使っているが、Apple社は銅線ケーブル活用の「Thunderbolt」とし、一方のソニーは光インタフェースとして実現した。Apple社がまずは銅線ケーブルを活用した理由は、光信号を扱う際のコストアップを敬遠したためとみられる。

 ただしIntel社は、今後Thunderboltをさらに高速化させるというロードマップを持っており、その中には光信号の活用が前提となるものもある。いずれは、光信号を用いたThunderboltのソリューションも出てくることになりそうだ。その際には20Gビット/秒、または40Gビット/秒といったスピードを標榜してくる可能性もある。