2010年の通信分野の話題の中心となったのは,やはり米Apple社の「iPhone」だった。ただし,2010年後半は,iPhone追撃を狙うAndroid版スマートフォンの発売が相次いだ。2011年は,この争いがさらに激化するのは間違いない。機種数で勝り,しかも「ガラケー(ガラパゴス・ケータイ)」の機能も備えたAndroid勢の攻勢に,iPhoneがいつまで主役で居続けられるかが分かる年になるはずだ。

 最近,NTTドコモがサービス「Xi」を開始したLTE関連のニュースも読者の関心を集めた。ただし,ユーザー視点から見て料金面も含めて本当に魅力的なサービスになれるか,あるいはWiMAXなどとの差異化をどうはかり,新しい価値や体験を提供するサービスになれるかはまだ未知数だ。日本国内での事業先行が世界市場でのシェア獲得にまったくつながらなかった3Gの二の舞にならないことを祈りたい。

 この他では,スマートグリッドや無線通信規格間の敷居を下げる動き,米Intel社の光インタフェース「Light Peak」関連の記事にも関心が高かった。特に最近になって,パソコン間やサーバー機間のケーブルから,プリント基板上の配線,そしてチップ間,さらにはチップ内へと光インタフェースを広げる技術開発のニュースが相次いだ。米IBM社は2017年のスーパーコンピュータに向けて光インタフェース技術を本格的に採用する方針を明らかにした。Intel社は東京大学と提携し,チップ内での光源技術の確保を狙っている。今後10年間の通信技術の萌芽といえるかもしれない。  

▼ 2010年「通信」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1Appleが「iPhone 4」を正式発表,960×640画素のディスプレイや動画会議機能を搭載6/8
2【MWC】攻めに出たソニエリ,スマートフォンの新機種を一挙に3種類発表,注目は手のひらサイズの「X10 mini」と「X10 mini pro」(速報)2/15
3東京電力,9万台のスマートメーターを使う実証実験,マルチホップ通信を利用3/11
4ソニー,ケーブル1本でデータ伝送と電源供給が可能な機器内配線技術を開発8/20
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6【CES続報】米Intel社が光インタフェース「Light Peak」対応LSIを搭載した小型基板を出展,「2011年にはノート・パソコンに搭載したい」1/14
7富士通と東芝が携帯電話事業の統合を発表へ,国内シェア2位に6/17
8【LTE会議】ドコモ,KDDI,イー・モバイルがLTEを語る,「7年かけて,ようやくここまできた」9/3
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(集計期間:2010年1月1日~12月12日)