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 米Apple Inc.は,同社のスマートフォン「iPhone 4」のアンテナ問題に関して,2010年7月16日に同社本社で報道機関向けに説明会を開催した(説明会の動画Tech-On!の関連記事)。この場で同社 CEOのSteve Jobs氏は「9月30日までにiPhone 4のユーザーすべてに無料でケースを提供する」と宣言した。「アンテナ問題の影響を受けているのはiPhone 4ユーザーの一部だが,我々はすべてのユーザーを尊重しており,皆に満足してもらうことを望んでいる」(同氏)。同社は9月30日の時点で,それ以降も無料でのケース提供を継続するかどうかを再検討する。

 Jobs氏によると,iPhone 4のアンテナ問題が指摘されて以降,22日間かけて同社は原因を調査したという。その結果,こうしたアンテナ問題は他のスマートフォーンでも一般的に起こっていることが判明した,と同氏は主張する。具体的なデータは公開しなかったが,少なくとも台湾HTC Corp.製の「Droid Eris」やカナダResearch In Motion Ltd.(RIM)製の「BlackBerry Bold 9700」を含む4機種のスマートフォンで問題が見られたとした。説明会では,それを示す動画を披露した(動画が公開されているWebページ)。これら4機種では,ユーザーが端末をある形で握ると,画面に表示される受信電波強度が減少した。Apple社によると,iPhone 4には外部アンテナの位置を示す「美しい線」(Jobs氏)がケースに設けられており,握るとアンテナ感度の減衰が起こる個所を,この線によってユーザーが知ることができるという。

 アンテナ問題がユーザーに与える影響が少ないことを示すため,Apple社はいくつの情報を公開した。まず,iPhone 4の返品率は従来より少ないとした。従来製品である「iPhone 3GS」の販売初期の返品率は6%だったが,iPhone 4の販売初期の返却率は1.7%にすぎないという。さらに,ケースの普及状況も関係しているとした。iPhone 3GSが発売されたときには,「iPhone 3G」向けのケースが既に市場にあったため,iPhone 3GSの購入者の約80%はケースを保有していたという。一方,iPhone 4ではケースの保有率は約20%にすぎない。

 Apple社は,受信電波強度を表示するアルゴリズムに誤りがあった問題についても説明した(Tech-On!の関連記事)。この問題を解決する新しいソフトウエア「iOS 4.0.1」を2010年7月15日に公開したという。

 米消費者団体が発行するConsumer Reports誌は以前,iPhone 4はアンテナに問題を抱えているため推薦できないと報告している(Tech-On!の関連記事)。同誌は,「今回のApple社の発表は一時的な対策にすぎないので,まだ推薦できない」という内容のブログ記事を公開した(ブログ記事)。