米消費者団体が発行するConsumer Reports誌は米国時間2010年7月12日、米Appleの新型スマートフォン「iPhone 4」の受信性能に問題があるため、同端末を推奨しないという方針を明らかにした。

 同誌のエンジニアが同日までに行った製品テストの結果を踏まえた結論だとしている。それによると、電波の弱い場所でiPhone 4の左下側面の黒いスリット部分に手で触れたとき、接続が完全に切れるほどに信号が著しく低下することが分かった。

 テストは、ニューヨークの異なる店舗で購入した3台のiPhone 4で行った。外部の電波が入らないように設計された特別な部屋で、米AT&Tの基地局をシミュレートするベースステーション・エミュレーターを使った。「iPhone 3GS 」や「Palm Pre」といったAT&Tが通信サービスを提供するほかの携帯電話でも同じテストをしたがiPhone 4のような現象は起きなかったと報告している。AT&Tの携帯電話ネットワークが主要因でないことも分かったと結論付けた。

 Appleは7月2日、iPhone 4のユーザーにあてた公開書簡で、iPhone 4の受信性能に関する問題は、電波状態の強弱を判定し、それをディスプレーのアンテナバーで表示する際の計算式に誤りがあり、原因はプログラムによるところが大きいと説明。修正ソフトウエアを無償配布を決めた(関連記事:iPhone 4の電波受信トラブルは「プログラムが原因」、Appleが釈明)。

 これに対し、Consumer Reports誌は今回の製品テストの結果、Appleのこの主張には疑問があると指摘する。

 また同誌は消費者が自分でできる手軽な解決策として、左下側面をダクトテープ(補修用の多目的テープ)などの絶縁性の高いテープで覆うことを勧めている。iPhone 4用のケースを使うことも有効な解決策と考えており、1週間内にも数種類のケースでテストを行ってその結果をレポートするとしている。

 最後に同誌は、受信性能の問題がiPhone 4を推奨できない理由ではあるが、ほかの項目ではiPhone 4は高い評価を得ていると報告している。高精細ディスプレイや、他機種には見られない高品質ビデオカメラ、ジャイロスコープ機能、バッテリー性能の向上などが高評価に値するという。ただ、iPhone 4が「推奨」を獲得するためには、製品の無料修理を行って、このアンテナ問題を恒久的に解決する必要があるとしている。

[Consumer Reports公式ブログへの投稿]