図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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図6
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図7
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図8
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図9
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 富士フイルムは,3Dカメラ「FinePix REAL 3D W1」を2009年8月8日に発売する(図1~2)。本機はメガネなしに背面モニターで立体視効果を得られる,世界初のデジタル・カメラという。想定実売価格は,約6万円。立体視機能を備えたデジタル・フォト・フレーム「FinePix REAL 3D V1」は,約5万円。2点をセットで買うと10万円ほど。

 同社は,展示会「photokina」に2008年に出展した試作機を元に,今回の3Dカメラを開発した(photokinaでの詳報記事)。その最大の違いは,立体視効果を左右する視差を,簡便に調整できるユーザー・インタフェースにある。

 図3~4を見てほしい。液晶モニタに表示されている画像の横幅が大きく異なっている。これは左手親指の下にある二つのボタンによって視差の大きさを変えたためだ。富士フイルムは,こうした簡便な調整方法を撮影後いつでも可能にした。この結果,3D画像を見る誰もが立体視効果を体験しやすくなっている。

 今回の3Dカメラは,被写体などに応じたオート視差調整機能を備えているものの,モニタと目との距離や,目と目の間の距離は人によってまちまちなので,手動調整機能は有益である。ただ現状では,ユーザーが視差を調整した結果を保存しておき,次の閲覧時に再現する機能はなかった。

 富士フイルムは,同時に2枚の写真を撮る方法では立体感を得にくい,近接撮影や遠景の撮影に向けた撮影モードを用意した。「3D 2回撮り」と「3D時間差撮り」である。前者はユーザーにわずかにカメラをずらして,通常の2D撮影を2回,片側のカメラ・モジュールで撮ってもらうものだ。

 後者は前者に似るが,ユーザーが飛行機や電車などで移動中に,超遠景を撮る時に利用する。「視点の異なる2枚を連写するので,飛行機から見た雄大な雲海や山岳の風景に立体感を与えられる」(同社)という。

 このほか2D撮影時に,左右のカメラ・モジュールの設定をあえて変えて撮れるモードを用意した。「テレ/ワイド同時撮り」「2カラー同時取り」「高/低感度同時撮り」である。

 最後に部品実装上のポイントを列記する。

・ アルミダイキャスト製の内蔵フレームを用いたのは,二つのカメラ・モジュールの位置関係をずらさないため(図5~6)。同社の説明員は,このフレームを「3Dカメラの中核部品」と呼んだ。こうしたフレームなどを内蔵するため,今回の3Dカメラは300g(電池やメモリ・カードを含む)と,レンズ一体機としては重い。

・ 二つのカメラ・モジュールは同じ仕様(図7)。屈曲光学系を内蔵する。なお3D時の推奨撮影距離は,広角端で1m以上。望遠端では2m以上(オート視差調整オン時)である。

・ 公開されていたメイン・ボードを見る限り,基板の集約や小型化を通した原価低減の余地が見受けられた(図8~9)。フレキシブル基板をはさむコネクタが10個と多めであるほか,部品の実装密度があまり高くなかった。

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