KDDIの2007年度(2007年4月~2008年3月)決算は増収増益になった。売上高が前年度比7.8%増の3兆5962億8400万円で,営業利益が同16.2%増の4004億5100万円である。営業利益は,2008年1月時点の予測は下回ったものの(Tech-On!関連記事1),過去最高を更新した。

 携帯電話の契約純増数は215万件で純増シェアは35.8%だった。前年度の純増シェア55.8%からは大きく縮小している。au端末の販売台数は前年度比1.7%増の1582万台だった。auユーザーのARPU(1人当たりの月額平均利用額)は前年度の6610円から6260円に低下している。データ通信の利用額は上昇したものの,音声通信の利用額が下がった。

 2008年度の業績予測は,売上高が前年度比2.9%増の3兆7000億円,営業利益が同10.6%増の4430億円とする。契約純増数は約126万件,シェアにして32%程度を見込む。au端末の販売台数は1440万台と予測している。ARPUは引き続き下がって5660円になる見通し。

 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は「2007年度は節目の年になった」と振り返る。「携帯電話の国内契約数は1億件を突破し,auの契約数も3000万件を超えた。モバイルWiMAXサービス向けの周波数も獲得できた(Tech-On!関連記事2)」。モバイルWiMAXサービスは2009年夏に東名阪などで開始,2010~2011年に人口カバー率を70%とし,さらに2012~2013年には90%まで引き上げる計画という。2008年度の移動体通信事業向けの設備投資額は前年度比11.3%増の4360億円を予定している。

2007年度は「商品管理が甘かった」

 小野寺氏は2007年度の反省点として,「商品管理が甘くなっていたこと」「料金体系などについてユーザーへの周知が不足していたこと」を挙げた。「商品管理の甘さ」については,新しい統合プラットフォーム「KCP+」を採用した端末の投入が遅れたこと,京セラ製のau端末「W42K」の電池パックで不具合が起きたことを具体例とした(Tech-On!関連記事3同4)。

 電池パックの不具合について小野寺氏は決算説明会の冒頭で触れ,2008年4月24日までに11万8000個を回収したと報告した。「今後は製品試験を強化するとともに,開発段階での安全マージンのチェック項目も増やす。不具合が発生した場合には,私を本部長とした対策本部をすみやかに立ち上げ,迅速に対応できる体制を築く」(小野寺氏)とし,再発防止策や安全対策の強化を誓った。