半導体などデバイスの製造技術を中心に報道するテーマサイト「Silicon Online」で2007年に注目を集めたのは,2006年に引き続いて,微細化のこれからを支える技術と,太陽電池やフラッシュ・メモリーなどの成長著しいデバイスに関する記事だった。このうち特に勢いがあったのは,トップ・テン入りした記事数が2006年の1本から,2007年は3本に増え,さらに1位にもランク・インした太陽電池だった。
▼ 2007年「Silicon Online」記事ランキング
順位 記事タイトル 日付 1 2013年以降は薄膜太陽電池が主流に,シャープ 08/02 2 「今度も一番乗り」,松下電器が45nm世代SoCの量産を今月開始 06/19 3 【TMS】三菱自動車が搭載した太陽電池のヒミツ 11/01 4 日本のEUV露光技術開発が進展,世界最高水準の26nmを解像 05/30 5 「NANDフラッシュ・メモリのトップ・シェアを目指す」,東芝社長が新工場の竣工式で宣言 09/04 6 【PVSEC】ホンダがCIGS型の技術内容を初公開,驚きのデータが続々と 12/07 7 応用物理学会が選んだ,春季講演会シンポジウムの見どころ 03/24 8 【VLSI速報】Samsungが30nm世代の64Gビット多値NAND向け統合技術,自己整合2重露光など 06/12 9 製造装置ランキング,AMATがLSIとFPDのトップに 05/07 10 【決算】「今度は必ず黒字化する」,NECエレ社長が誓う 05/14
数多くの太陽電池関連記事の中からランク・インした記事を見ると,太陽電池への関心が技術的な興味だけではなく,ビジネス・チャンスを狙ったものであると感じる。1位の「2013年以降は薄膜太陽電池が主流に,シャープ」からは今後の太陽電池の主流になりそうな方式は何かを,3位の「【TMS】三菱自動車が搭載した太陽電池のヒミツ」からは新たなアプリケーションの開拓の可能性があるかを,6位の「【PVSEC】ホンダがCIGS型の技術内容を初公開」からは異分野からの参入が成功するのかを読み取ろうとする意図がうかがえる。
2008年には,こうしたビジネス・チャンスを狙っている読者の中から,太陽電池分野に新規参入したり新技術を適用しようとする人が現れるだろう。今後も太陽電池関連のニュースが続々と出てきそうだ。それによって,太陽電池がどのように発展するのかに注目したい。
Silicon Onlineの読者は日本国内だけではない。太陽電池の学会を取材する際に,「いつも記事を読んでいる」と台湾などの技術者に声をかけられる機会が増えてきた。これまでの欧州や中国,台湾に加えて,2008年はインドや米国,韓国の動向にも目が離せない。
「Silicon Online」と「NIKKEI MICRODEVICES」では,引き続き太陽電池関連情報を積極的に提供していく。有益な情報があれば連絡いただきたい。