コンセプト・カー「i MiEV SPORT」
コンセプト・カー「i MiEV SPORT」
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配線に見立てた線を加えた
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 「いつか指摘されると思っていました」(説明員)――。三菱自動車が「第40回東京モーターショー」に出展した電気自動車のコンセプト・カー「i MiEV SPORT」は,薄膜型太陽電池を搭載することで話題を呼んでいる。しかし,薄膜型でありながら,結晶Si型のような太い配線を利用している点が気になった。その点を説明員に訪ねたところ,冒頭の言葉とともに,搭載した太陽電池のヒミツを教えてくれた。

 i MiEV SPORTが搭載する太陽電池は,効率が13%のCIGS型である。CIGS型をはじめとする薄膜型太陽電池は,極めて細い配線を使っており,外見が黒く見えるのが通常である。三菱自動車の説明員によると,i MiEV SPORTで配線のように見えたのは,実際には配線ではないという。
 消費者にとって,太陽電池といえば太い配線が目立つ結晶Si型のイメージが強い。そのため,デザイナと相談して,太陽電池っぽく見えるように,配線に見立てた線を加えたのである。

 結晶Si型ではなく薄膜型を選んだ理由は,薄さと耐衝撃性にあるとした。さらに,薄膜型の中でもCIGS型を選んだのは,理論的に変換効率を高められる可能性に魅力を感じたからという。今回の試作車では,1週間の充電で20kmの走行が可能になる。これでは,太陽電池のコストに見合わない。今後は,太陽電池のさらなる低コスト化に期待したいとした。
 なお,CIGS型太陽電池の製造メーカーは明らかにしなかった。ただし説明員は「CIGSではなくCIS」と強調した。国内では,ホンダがCIGS型,昭和シェルソーラーがCIS型と呼んでいる。

日経マイクロデバイスは,2007年10月号から2号連続で太陽電池の最新動向を掲載しています

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