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 「次世代テレビは,シャープの液晶で進める」――。東芝 取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏は,2007年12月21日に開催したシャープとの業務提携の会見で,このように宣言した(Tech-On!関連記事)

 東芝は次世代テレビとして,SEDテレビと有機ELテレビの実用化を目指していた。しかし,当面はこれらの事業化を進めず,液晶テレビで展開していく考えである。有機ELについては「しばらくは,(東芝松下ディスプレイテクノロジーで手掛けている)中小型に注力する」(西田氏)という。SEDについては「パネル開発をキヤノンに任せているので,何もコメントがない」(西田氏)とした。

 次世代も液晶テレビで進める理由としては,これら有機ELやSEDの技術的なメドが付かないことが大きい(Tech-On!関連記事)。この上で,西田氏はほかの理由も挙げた。「シャープの液晶は,有機ELと比べて,画質,厚さ,消費電力…の点で優れている」。この発言は,シャープが2007年8月に披露した厚さ20mmの液晶テレビの試作品(Tech-On!関連記事)を受けてのものとみられる。この試作品披露会見でのシャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏の発言を,西田氏がそのままコピーしたような印象さえ受けた。

 今回の業務提携の話が持ち上がったのは,2007年夏ころという。シャープはこの時期,厚さ20mmの液晶テレビの試作品発表のほか,大阪府堺市に第10世代の液晶新工場を建設することも発表した(Tech-On!関連記事)。次世代の液晶の姿を示すと同時に,液晶パネルの外販を積極的に進める意向を見せていた。

 こうしたシャープの姿勢に,有機ELやSEDの実用化に苦しんでいた東芝が興味を示した格好といえるだろう。シャープにとっても今回の提携は,安定的なパネル供給先を確保したという点で大きな意味がある。積極的なシャープのアピール戦略が,結果として奏功したといえそうだ。

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