「未来のテレビ創出」と宣言するシャープの片山社長
「未来のテレビ創出」と宣言するシャープの片山社長
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最薄部の厚みは20mm。シャープの現行品で最も薄い液晶テレビの厚みは81mmである
最薄部の厚みは20mm。シャープの現行品で最も薄い液晶テレビの厚みは81mmである
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試作品の輝度は500cd/m2,外光が200lxのときのコントラスト比は3000対1,動画のボヤケを考慮した測定方法による応答速度の指標「MPRT」は4ms,視野角性能として斜め45度からのコントラスト比は5000対1,額縁の幅は上が20mm,左右が25mmである
試作品の輝度は500cd/m2,外光が200lxのときのコントラスト比は3000対1,動画のボヤケを考慮した測定方法による応答速度の指標「MPRT」は4ms,視野角性能として斜め45度からのコントラスト比は5000対1,額縁の幅は上が20mm,左右が25mmである
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技術の詳細は明かしていないが,バックライトにはLEDを採用したとみられる。写真は試作品を背後から撮影したところ。赤色と青色の光が見える
技術の詳細は明かしていないが,バックライトにはLEDを採用したとみられる。写真は試作品を背後から撮影したところ。赤色と青色の光が見える
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 「有機ELなどの自発光型ディスプレイが,本当に次世代ディスプレイなのか」――。シャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏は,記者会見の冒頭でこう問いかけた上で,「現時点の液晶技術の粋を結集した」とする次世代型液晶テレビの試作品を発表した。

 試作品は52型のいわゆる「フルHD」品で,画質に関する性能指標,薄さ,環境性能(消費電力)を現行の液晶テレビに比べて大幅に向上させた。画質はコントラスト比が10万対1と高く,色再現範囲はNTSC規格比150%と広い。厚みはディスプレイ部が20mm,最厚部でも29mmと薄い。重さは25kgと軽い。環境性能については年間消費電力が140kWh/年と,現行の液晶テレビの約半分である。

 生活空間を一新する液晶テレビと位置付け,映像信号をミリ波で伝送する技術も合わせて開発し,試作品に盛り込んだ(Tech-On!の続報)

 大阪府堺市に建設予定の液晶新工場(Tech-On!関連記事) が稼働する2010年3月に合わせてパネルを量産する考え。片山氏は「量産までには,今回の試作品に比べてそれぞれの性能がさらに進化する」とし,「液晶テレビの次世代は液晶テレビが担う」と宣言した(Tech-On!の続報)

 記者会見における主な一問一答は以下の通り。

――試作品の性能を実現した技術的なポイントは

 この液晶テレビは,バックライト,カラー・フィルタ,TFTアレイ,偏光板などについて現時点での最高レベルの技術を結集したものだ。一つの技術で達成できたわけではない。個々の技術の詳細については,今日の時点では一切の説明を差し控えたい。

――この液晶パネルは,大阪府堺市に建設する新工場での主力の生産品目になるのか

 今日発表したということは,サンプルを造れる段階まできたということ。なんとか技術レベルを高めて,2010年3月の新工場稼働に間に合わせたい。それまでの間にも,今回の試作品に投入した技術の一部を,順次新製品に入れていく予定だ。

――量産までに必要なことは何か

 主に,量産化技術の確立が必要になる。

――映像信号だけでなく,電源もワイヤレスで伝送したり,重さも10kg以下にしたりとか,今回の試作品よりさらに進化した液晶テレビも堺工場稼働に間に合うのか

 非常にいい提案であり,私も技術開発陣にお願いしている。重さについても,決して今回の25kgが限界ではなく,まだまだ軽くしていきたい。さらなる低消費電力化も進める。今回の試作機の仕様は,まだまだ通過点に過ぎない。

――液晶が有機ELを凌駕することになるのか,今後も対抗が続くのか

 今回の試作品の性能を見る限り,あらゆるディスプレイの性能を上回っている。

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