シャープが米Danger, Inc.と共同で開発・製造し,米国の携帯電話事業者T-Mobile USA, Inc.が2007年4月25日に「Sidekick iD」という名称で米国で発売した「PV150」を入手し,分解を始めた(前編,中編)。PV150は若者をターゲットにしたPDA型携帯電話機(スマートフォン)の一種で,米国では2年契約付き99.99米ドルという低価格で販売されている。
筐体を固定する合計7本のネジを取り外すと,メイン基板が現れる。PV150は,ほとんどの部品が1枚のメイン基板に集約して実装してある。なるべく組み立てやすい構造にして,製造コストの引き下げを狙っていると思われる。
基板の表側にはQWERTY配列のフルキーボードやトラック・ボール,十字キーといった操作用の部品でほとんどが占められる。PDA機能や通信機能をつかさどる部品は基板の裏側に実装している。
果たして基板の裏面には厳重にシールドされたPDA機能を担うと思われる米Texas Instruments(TI) Inc.の携帯電話機向けアプリケーション・プロセサ「OMAP331」を中核とした回路と,米Enfora, Inc.製のGSM通信モジュール「MLG0208-00」が取り付けられていた。
OMAP331を中核とした回路では,SDRAMとフラッシュ・メモリを一つのパッケージにまとめた韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のMulti Chip Module(MCM)を採用していた。従来の製品より実装面積を縮小するのが目的と思われる。この回路のすぐ横に,SIMカードのコネクタを実装しており,この配置と関係ありそうだ。また,この回路では複数の受動部品を一つにまとめたアレイ型の部品が比較的よく使われていた。
Enfora社の通信モジュールは,内部にTI社のアプリケーション・プロセサをベースバンド・プロセサを搭載しており,これ単体でGSM携帯電話に必要な機能をすべて提供できる。このことから,OMAP331は通信以外の機能に専念する形で役割分担していると思われる。
「100ドル・スマートフォンを分解(後編)」(約4分13秒)
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