業界初のSDHCメモリーカード専用機であることを商品のウリにする
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外形寸法は74mm×69mm×142mm。液晶モニタ周辺は「4層コートのパール蒸着仕上げ」で高級感を演出。
外形寸法は74mm×69mm×142mm。液晶モニタ周辺は「4層コートのパール蒸着仕上げ」で高級感を演出。
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本体の後端は操作ボタン類のみ。2次電池(容量1320mAh)は本体内に格納する。写真上部,やや左に見える金属の編み目部分にマイクを5個搭載している。5個のマイクは本体を上から見たとき,「十」字の末端と中央の部分に置いている。こうしたマイク構成を撮る機種は「他社にない。他社製品はマイクが4個」(説明員)。
本体の後端は操作ボタン類のみ。2次電池(容量1320mAh)は本体内に格納する。写真上部,やや左に見える金属の編み目部分にマイクを5個搭載している。5個のマイクは本体を上から見たとき,「十」字の末端と中央の部分に置いている。こうしたマイク構成を撮る機種は「他社にない。他社製品はマイクが4個」(説明員)。
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指向性マイクの展示パネル
指向性マイクの展示パネル
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3板式の撮像素子がもたらす分光精度(色解像度)の高さを,ソニー製品とキヤノン製品と比較してアピール。HDC-SD1は暗所撮影を他社の機種よりも得意としている。松下電器産業の測定による最低被写体照度は,60フレーム/秒の撮影のとき「6ルクス。他社製品は10lx程度にとどまる」(説明員)。
3板式の撮像素子がもたらす分光精度(色解像度)の高さを,ソニー製品とキヤノン製品と比較してアピール。HDC-SD1は暗所撮影を他社の機種よりも得意としている。松下電器産業の測定による最低被写体照度は,60フレーム/秒の撮影のとき「6ルクス。他社製品は10lx程度にとどまる」(説明員)。
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HDC-SD1の内部。Cu板や放熱シートを多数用いて熱を拡散させている。レンズ・ユニットの奥に見えるLSIは,左から順に高画質化処理(NECエレクトロニクス製),液晶パネルなどへの出力(東芝製),H.264符号化(松下電器産業製)をそれぞれに担う。手ブレ補正はキヤノン製品と同様,光学式。ソニー製品は電子式である。
HDC-SD1の内部。Cu板や放熱シートを多数用いて熱を拡散させている。レンズ・ユニットの奥に見えるLSIは,左から順に高画質化処理(NECエレクトロニクス製),液晶パネルなどへの出力(東芝製),H.264符号化(松下電器産業製)をそれぞれに担う。手ブレ補正はキヤノン製品と同様,光学式。ソニー製品は電子式である。
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上の写真でレンズ・ユニットの奥に見えていたメイン・ボードの裏面には,音声処理LSIや,静止画処理と本体制御を担うLSIなどを搭載している。
上の写真でレンズ・ユニットの奥に見えていたメイン・ボードの裏面には,音声処理LSIや,静止画処理と本体制御を担うLSIなどを搭載している。
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HDC-SD1とほどんど同じ部品構成でDVDに記録するHDC-DX1。SDメモリーカードは静止画の格納にのみ使う。想定実売価格は16万円。国内向けの月販予定台数は1.5万台。
HDC-SD1とほどんど同じ部品構成でDVDに記録するHDC-DX1。SDメモリーカードは静止画の格納にのみ使う。想定実売価格は16万円。国内向けの月販予定台数は1.5万台。
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 松下電器産業は,SDメモリーカードにHDTV動画を格納するビデオ・カメラ「HDC-SD1」を2006年12月1日に発売する(ニュース・リリース)。重さは本体のみで約430g,2次電池を含めると約490gと,HDTV(1080/60i)対応機の中で最も軽い。

 録画には,符号化にMPEG-4 AVC/H.264を用いたAVCHD規格を用いる。同規格対応機としては,ソニーのHDR-UX1,HDR-SR1に続く発売となる。録画時間は,4GバイトのSDHCメモリーカードを使ったとき,NNモード(ビット・レートは9Mビット/秒)で1時間,NEモード(ビット・レートは6Mビット/秒)で1.5時間。

 松下電器産業による想定実売価格は,容量4Gバイトでデータ転送速度が2Mバイト/秒以上のSDHCメモリーカードを標準添付して当初18万円。国内向けの月販予定台数は2万台である。この機種は,「CEATEC JAPAN 2006」の出展品だが,筐体の色が変更されている。

部品選択に特徴


 今回の機種は,発売に先行したソニーやキヤノンの1080/60i対応機と,記録媒体と撮像素子が大きく異なる。記録媒体には,他社が用いていないSDHCメモリーカードを使った。松下電器産業は今回,記録媒体にDVDに用いたHDC-SD1の兄弟機「HDC-DX1」を発売するが,「DVDは主に媒体コストに敏感な海外市場で当面使うだけ。長期的に見ればSDHCメモリーカードが中軸」(同社)という。

 SDメモリーカードの利点として同社は,ハード・ディスク装置やDVDよりも機構部品を減らせるため振動やホコリに対して耐性が高いこと,カメラ本体を小型化できることなどを挙げている。

 撮像素子には,他社がCMOSセンサを使う中でCCDを採用した。その理由の一つは,これまで実績があるCCDの方が高画質を得やすかったこと。松下電器産業は,CMOSセンサに似たMOSセンサを携帯電話機用途で実用化済みだが,それを基にビデオ・カメラ用品種を用意する時間的な余裕がなかったようだ。

 もう一つの理由は,今回の機種が撮像素子を3個使う「3板式」であること。3板式ならCMOSセンサよりもデータ転送速度が原理的に遅いCCDでも,十分な転送速度を得られる。3板式に対する松下電器産業のこだわりは強い。「CMOSセンサやMOSセンサを今後採用したとしても3板式は使い続けたい」(同社)という。3板式は分光精度(色の解像度)が高いからだ。

 一方で3板式は,部品実装に要するコストがHDTV対応機で特に高くなる課題があったが,松下電器産業は今回の機種を投入するにあたり「治具や工法を見直して解決した」(同社)とする。今回のCCDは画素ピッチが4.1μm,光学サイズが1/4型。読み出し方式はプログレッシブである。

集音域がズームに連動


 このほか,今回の機種の特徴を以下にまとめる。

光学ズームに応じてマイクの指向性が大きく変化
 例えば,遠くで話す我が子を撮ろうとレンズを望遠端にすれば,子供の話し声も広角端に比べて大きな音で収録できる。横(ユーザーの左右)方向の感度は8dBほどしか上げないのに対し,レンズが向く方向(正面)では感度を20dB高めるからだ。こうした感度差は,横方向から来る音を信号処理で抑圧することで実現した。信号処理のパラメータは音の方向や伝搬時間だという。

H.264のHigh Profileに対応
 「ソニーの現行製品が使っているMain Profileではなく,High ProfileがH.264の主流になっていくだろう。8×8のDCTや量子化マトリクスなどをMain Profileに追加したHigh Profileは,消費電力を増やさずに画質を高められるからだ。この特徴を米国の映画業界が高く評価している」(松下電器産業)。

UniPhierを用いてH.264コーデックLSIを開発
 据置型AV機器向け品種の再生関連機能を省くことで消費電力を低減した。パッケージも小さい。なおHDC-SD1の消費電力は,録画時に約6W。このうちレンズ・ユニットやCCDで2W,後段の画像処理で2Wを消費する。

屈折率が2.0を超える超高屈折率硝材を採用
 この高屈折率硝材を用いたレンズは1枚で,プレスによって非球面に成形している。レンズ・ユニット全体での非球面数は4面である。レンズ・ユニットは10群13枚で構成し,21面にコーティングを施している。光学12倍ズームを実現。広角端の画角が35mmフィルム判換算で38.5mmと,ビデオ・カメラとしては広い。

液晶モニタの表示能力が向上
 同社従来のSDTV機と比べて表示画素数は2倍の25万である。色再現範囲は1.5倍。

標準添付のパソコン用ソフトウエアで再生可能
 ブロック雑音を除去をしないときのフレーム速度は次の通り。Pentium 4 HT 3.0GHz~Pentium D 2.8GHzを搭載するパソコンで30フレーム/秒。Pentium III 1.0GHz~Pentium 4 HT 2.4GHzでは2フレーム/秒。簡易再生ソフトウエアは自社開発である。

認証に基づく電池残量の表示機能を装備
 ソニーの製品が以前から備えていた分単位の残量表示機能を備えた。この機能はソニー製品同様,ビデオ・カメラ本体が電池を認証した上で実現する。この認証は,模倣・互換電池の使用を妨げる効果もある。「当社が認めたサード・パーティー製品に対しては,認証コードを提供することを考えている」(松下電器産業)。