松下がUniPhierの現状を総括,古池氏は満面の笑顔
松下電器産業は,2005年10月13日に記者会見を開催し,同社が展開中のデジタル民生機器向けの統合開発プラットフォーム「UniPhier」の現状と今後の方針を明らかにした。これまでにUniPhierに基づく4品種のSoC(system on a chip)の開発を終え,自社製機器への搭載を進めているという(関連ニュース・リリース)。携帯型AV機器,携帯電話機,据置型AV機器,車載用AV機器の各用途に向けて1品種ずつ開発した。
構想を発表してから約1年で4品種の開発にこぎつけ,順調な滑り出しを見せているUniPhierの現状に満足しているのか,登壇した松下電器産業 代表取締役 専務の古池 進氏は,時折笑顔を振りまきながら,今後の展開も口にした。「まずは松下内でUniPhierを定着させ,その実績を基に外販に展開したい。UniPhierの外販は2007年ころからになる。2010年にはUniPhierだけで1000億円の売上高を達成することを目指す」(古池氏)との方針を明らかにした。
据置型AV機器には2006年度中に搭載
今回,開発したUniPhierベースのSoCの仕様と機器への搭載状況は次の通り。携帯型AV機器向けに開発したSoCは,MPEG-2の符号化/復号化,VGAサイズのMPEG-4符号化/復号化,JPEG符号化/復号化などのコーデック処理が可能である。SDメモリーカードやDVD,ハード・ディスク装置(HDD),USBなどに対応したインタフェース回路を備える。これらのコーデック処理は,マルチメディア処理に最適化したスケーラブルな信号処理プロセサ「UniPhierプロセッサ」で実行する。
CPUコアとして低消費電力性に優れた「ARM926」を搭載する。130nm世代の半導体技術で製造し,5200万個のトランジスタを搭載する。電源電圧は内部回路が+1.2V,入出力回路が+1.8V/+3V/+3.3Vである。483端子CSPに封止する。2005年10月に発売したSDメモリーカードを用いたビデオ・カメラ「SDR-S100」に搭載されている(Tech-On!関連記事1)
携帯電話機向けに開発したSoCでは,地上デジタル放送サービス「ワンセグ」を長時間視聴することを狙って,超低消費電力と高性能の両立を図った。CPUコアは「ARM1136」である。130nm技術で製造し,6600万トランジスタを集積する。電源電圧は内部回路が+1.2V,入出力回路が+1.85V/+2.85Vである。パッケージは458端子CSPである。2005年9月27日にNTTドコモが発表したパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「ワンセグ」対応携帯電話機「P901iTV」への搭載が決まっているという。
据置型AV機器向けには,HDTV映像を2チャンネル同時に復号化し,かつH.264映像の復号化を1チップで実現可能なSoCを開発した。自社開発のCPUコア「AM34」を2個内蔵する。90nm世代の半導体技術で製造し,1億3000万個のトランジスタを内蔵する。電源電圧は内部回路が+1.2V,入出力回路が+3.3Vである。パッケージは953端子のHS-BGAである。Blu-ray Disc装置へのインタフェースを備える。このSoCは2006年度中に松下電器産業製の機器に搭載する予定である。
車載用AV機器用SoCは,高速メモリ対応で,リアルな地図描画を可能にするため専用の2次元/3次元グラフィックス処理回路を内蔵する。システム制御やグラフィックス処理を担当するUniPhierプロセッサを搭載するが,CPUコアは集積しない。このSoCは2004年5月から発売中のパナソニックオートモーティブシステムズ製のHDDカーナビに搭載されているという。
「ARMのマルチメディア処理エンジンは使わない」
古池氏は,今後2010年ころまでにUniPhierの進化は3段階に分かれて進むとし,そのロードマップを見せた。2005年〜2006年にかけての「Phase I」では,ソフトウエアやIPコアなどの設計資産をさまざまな機器開発部門で共有するためのプラットフォーム構築の期間と位置付けた。
2007年からはじまる「Phase II」では,性能向上を追求する。このために,10月4日に英ARM Ltd.が発表した新マイクロプロセサ・コア「Cortex-A8」を(Tech-On!関連記事2),UniphierのRISCプロセサとして採用することを明らかにした。Cortex-A8は従来のRISCプロセサ・コアとは別に,マルチメディア処理プロセサ・コア「NEON」を搭載している。「Uniphierプロセッサ」とは機能的にダブるところがある。「NEONは使わない。マルチメディア処理プロセサは家電メーカーの生命線だ。そこにARMの技術を使うわけにはいかない」(半導体社 副社長 技術担当の西嶋修氏)。同氏は,スーパー・スカーラー型を採るなどして性能を上げたCortex-A8のRISCプロセサ・コアには魅力があると加えた。
2009年からはじまる「Phase III」では,Uniphierプロセッサにリコンフィギュラブル・プロセサを加える方向を示した。ただし,どのリコンフィギュラブル・プロセサを使うかについては検討中としている。リコンフィギュラブル・プロセサを利用する最大の目的は,低消費電力化だとする。「消費電力という視点では,リコンフィギュラブル・プロセサは,ハード・ワイヤード回路とプロセサ・コアによるソフトウエア処理の中間的な位置づけになる。現在ソフトウエア処理している部分をリコンフィギュラブル・プロセサ化して低電力化をねらう」(西嶋氏)。













