通常のコネクタ(左)と小型コネクタ(右)
通常のコネクタ(左)と小型コネクタ(右)
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 テレビやDVDプレーヤなどの映像機器に向けたデジタル・インタフェース「HDMI」を策定するソニーなど7社は,その最新版「HDMI 1.3」を公開した。現行の「HDMI 1.2」に比べて伝送速度を約2倍に高めたのが,最大の変化である。これによりRGB形式の色階調数を最大各16ビットに高めた48ビット・カラーや,フレーム周波数を120Hzに高めたフルHD(1920×1080p)の映像信号を伝送できるようになる。2006年1月に国際標準となった新たな動画用色空間規格「xvYCC」にも対応する。このほかビデオ・カメラや携帯型AV機器への搭載を視野にれて,小型のコネクタを新たに規定した。(HDMIの策定企業の発表資料)。

 HDMI 1.3については既に,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が2006年11月に発売する家庭用ゲーム機「プレイステーション3」に採用する意向を表明している。SCEは2006年3月,それまで2006年春としてきた発売時期を2006年11月に延期した。延期の主たる理由として挙げたのが,次世代光ディスク向けコンテンツ保護技術「AACS」のライセンス供与の遅れと,HDMI 1.3への対応だった(Tech-On!の関連記事)。現行のHDMI 1.2でフルHDの映像信号を伝送する場合,RGB形式やYCbCr(4:4:4)形式では最大各8ビットの24ビット・カラーの映像信号しか伝送できなかった。
 
 HDMI規格の策定に携わっているのはソニーのほか,東芝,日立製作所,松下電器産業,オランダRoyal Philips Electronics社,米Silicon Image, Inc.,フランスThomson社である。

 なお映像機器やパソコンなどに向けたデジタル・インタフェースの次世代規格としては,HDMIのほかに複数の規格が名乗りをあげている。映像機器に関する米国の標準化団体VESAが「DisplayPort」を2006年5月に公開したほか(VESAの発表資料),米Intel Corp.がUDI(Unified Display Interface)を2006年7月末に策定を終える予定である(UDI SIGのwwwサイトTech-On!の関連記事)。



日経エレクトロニクスは2006年7月3日号(no.929)において,映像機器やディスプレイの多階調化に向けた取り組みや,HDMI 1.3やDisplayPortといった次期デジタル・インタフェース規格の動向を取り上げた特集記事を掲載しています。