展示の様子。写真右にカメラがある。
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展示パネル
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 フジクラは,光信号の伝送路に光ファイバーを用いた配線モジュールを試作し,「JPCA Show 2006」で展示した。同社はサーバーのバック・プレーンや車載カメラの動画伝送での利用を想定している。会場では自動車での利用を想定し,カメラで撮影した動画を配線モジュールで伝送し,テレビ画面に表示する実演をした。

 今回利用した光ファイバーはコア材料にはガラス,クラッド材料には樹脂を利用している。ファイバーの外径は125μmで,コア径は50μmである。今回の光ファイバーの伝搬損失は0.01dB/cm以下。「コア,クラッド両方を高分子材料にすれば曲げには強くなるが,伝送損失が0.1dB/cm程度と大きくなってしまう」(説明員)という。曲げ半径が4mmのときの損失は0.01dB以下。曲げ半径を1mmとして100万回屈曲させても光ファイバーの特性に変化はないという。1本当たりの伝搬速度は2.5Gビット/秒以上で,10Gビット/秒も伝送可能だとする。

車載用途の課題はコストや耐熱性


 展示会場で,車載向けカメラでの使用を意識した実演をしているのは,「高画素の車載カメラによる動画を伝送するには最低1Gビット/秒は必要と考えている。将来,動画解析による安全システムが自動車に備わった場合,雑音が少なく,高速な信号を送信できる光配線が適していると考えているため」とする。ただし車載に向けた課題として,製造コストのほか,発光素子に利用するVCSELの耐熱性を挙げた。

 会場では,住友ベークライトなども光導波路を内蔵したフレキシブル基板を利用した配線モジュールを展示している(Tech-On!関連記事)。そのほか一部の基板材料メーカーは,用途の一例として光電混載基板への使用を挙げている高周波信号向けの基板材料を展示していた。

 今回展示されていないものの,2005年に松下電工はフレキシブル基板内に光導波路を形成したものをすでに試作し,発表している(Tech-On!関連記事)。オムロンやミツミ電機なども光配線モジュールを開発した(Tech-On!関連記事)(Tech-On!関連記事)。また三井化学はプリント配線基板間のデータ伝送用途に,1本の配線で光伝送と電気伝送ができる「光電気混載フィルム」を2005年の「JPCA Show 2005」で展示していた(Tech-On!関連記事)。