図1 三井化学が想定するボード間光電気混載配線のイメージ。ボード間をつなぐ配線のうち,上が光導波路にCu配線を張り合わせた「光電気混載フィルム」。下は,ポリイミド製の光導波路。
図1 三井化学が想定するボード間光電気混載配線のイメージ。ボード間をつなぐ配線のうち,上が光導波路にCu配線を張り合わせた「光電気混載フィルム」。下は,ポリイミド製の光導波路。
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 三井化学は,1本の配線で光伝送と電気伝送ができる「光電気混載フィルム(OECF:optical/electronic circuit film)」を開発した。2005年6月1日~3日に東京ビッグサイトで開催されている「JPCA Show 2005」で,公開している。プリント配線基板間のデータ伝送用に向ける(図1)。

 OECFは,フッ素化ポリイミドで作製したフィルム状の光導波路に2枚のCu配線を張り合わせたもの。「大容量データの伝送には光導波路を使うが,制御信号のやり取りにはオーバーヘッドが大きい。そのためのCu配線も残したい」(同社 研究開発部門 機能材料研究所 回路材料グループの塩田 剛史氏)という動機で開発した。

 三井化学は5年ほど前から,製造コストが低く量産可能なフィルム状の光導波路の研究開発に取り組んでいるが,実際に使われる可能性が見えてきたのはごく最近だという。「以前はプリント配線基板内に光配線を実装することを考えていた。具体的な用途は言えないが,今はボード間のデータ伝送で先に使われると考えている。課題だったコストの問題も解決のメドが立ちつつある」(同氏)。

 フィルム状光導波路は2004年以降,オムロンや富士ゼロックスも低コストの製造方法を開発するなど,近い将来の実用化を見込んで競争相手が急に増えだした。「最終的には材料のコストがモノをいう。ありふれたポリイミドを使う我々の光導波路には自信がある」(同氏)という。

『日経エレクトロニクス』 2005年6月6日号では,筐体内の光伝送技術が使われる用途や時期について詳しく解説する記事を掲載する予定です。