【図1】光配線モジュールを搭載した携帯電話機。
【図1】光配線モジュールを搭載した携帯電話機。
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【図2】フレキシブル光導波路(写真中央,ヒンジ部の外側に見える透明な帯)。
【図2】フレキシブル光導波路(写真中央,ヒンジ部の外側に見える透明な帯)。
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【図3】送信/受信パッケージを小型化した試作品。
【図3】送信/受信パッケージを小型化した試作品。
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 オムロンは,フレキシブル光導波路を用いた配線モジュールを「CEATEC JAPAN 2005」に出展した。折り畳み形の携帯電話機に搭載し,本体部分とディスプレイ部分を光配線モジュールで接続して稼動させた(図1,図2)。携帯電話機に搭載した光配線モジュールとは別に,両端の送信パッケージ(または受信パッケージ)をひと回り小型化した光配線モジュールのモックアップも展示している。

ケータイへの適用を視野

 昨今の携帯電話機では性能向上に伴って,データ量が飛躍的に増大している。電気伝送のままだと伝送容量やEMIの点で限界が訪れるとの指摘がある。オムロンは,光伝送技術がこれを乗り越える手立てになるとして,今回具体的な適用事例を見せた。携帯電話機のヒンジ部への適用を想定して,マイクロコントローラを搭載した下側基板から液晶パネルを搭載した上側基板に向けて信号を伝送した。

 今回の試作例では,光配線モジュールを1チャネルの単方向通信に適用した。幅1mm×厚さ0.15mm×長さ60mmの光配線部(フレキシブル光導波路)の両端にモジュール部(送信パッケージ部と受信パッケージ部)が接続してある。電気信号を光信号に変換する送信パッケージ部は幅8mm×厚さ1mm×長さ11mm,電気信号を光信号に変換する送信パッケージ部は幅5mm×厚さ1mm×長さ10mmだ。開発中の光配線モジュールでは,これらが幅3 mm×厚さ1mm×長さ6 mmとなる(図3)

1Gビット/秒の高速伝送

 データ伝送速度は1Gビット/秒と高い。現行の電気配線における20Mビット/秒~80Mビット/秒程度に比べて大幅に高速化できる。これにより例えば,「従来は静止画に比べて画質が粗かった動画を,より高画質にできる」(オムロン)といったメリットが生まれる。必要なスペースも電気配線と比べて小さくて済む。コスト面では従来の電気配線とほぼ同等のレベルを実現できるという。

 同社の光導波路「SPICA(Stacked Polymer optical IC/Advanced technology)」は,金型を使った複製プロセスで製造するポリマー光導波路(Tech-On!関連記事)。幅1mm×厚さ0.15mm×長さ120mmのフィルム・タイプ試作品では,伝搬損失は0.07dB/cm(波長850nm)を実現する。最小曲率半径は1mm,最小捻回長さは5mmで,それぞれ100万回の耐久性がある。