米QUALCOMM Inc.は,携帯機器向けデジタル放送サービスの主要3規格の全てに対応できる受信チップを開発中であることを明らかにした(発表資料)。

 日本の携帯機器向け地上デジタル放送規格「ISDB-T」の1セグメント放送(いわゆるワンセグ),欧州を中心にサービス開始予定の携帯機器向け地上デジタル放送規格「DVB-H」,そしてQUALCOMM社が推進する携帯機器向け放送サービス「MediaFLO」で利用する伝送規格「FLO」の3方式に対応する。3方式を受信できるチップの開発を明らかにしたのは同社が初めて。世界の諸地域で利用する携帯電話機に搭載すれば,放送方式の異なる地域でもサービスを受信できる端末を実現できる。2007年第1四半期にも,サンプル出荷を開始する予定。

470MHz~862MHz の受信を1チップで

 QUALCOMM社は,この受信チップを使うソリューションを「UBM(Universal Broadcast Modem)」と呼ぶ。QUALCOMM社の携帯電話機向けチップセットであるMSMシリーズと協調して利用できるだけでなく,ほかのメーカーの携帯電話機向けチップセットに接続して利用することも可能としている。携帯電話機メーカーの間では,端末の内部設計を共通化して開発コストを削減するプラットフォーム化が進んでいる。QUALCOMM社は,その際にUBMのような複数地域で利用できる受信チップが,強みを発揮できると見込んでいる。

 対応する周波数帯域は,UHF帯の470MHz~862MHzで,利用できるチャネルの帯域幅は5MHz,6MHz,7MHz,8MHz。CDMA方式およびUMTS方式の両方式の携帯電話機で利用できるように設計されている。これまでのところ,チップ寸法や消費電力などは明らかにしていない。