2005年下半期を振り返るべく,Tech-On!ではテーマサイトごとに「2005年下半期トップ10」をお送りしています。本記事では「電子部品テクノロジ」に掲載した7月~12月の記事から主な動きなどを取り上げて,テーマサイト・マスターである日経エレクトロニクスの堀切近史記者に下半期を振り返ってもらいます。(Tech-On!編集部) |
テーマサイト「電子部品テクノロジ」において2005年下半期に最も関心を集めたのは,CCD不具合問題であった。ソニーが10月上旬に同社製のCCD撮像素子の一部に不具合があると明らかにして以降,関連するメーカーが次々に不具合を公表し,ひときわ大きな反響を呼ぶことになった。背景には,対象機種の総出荷数が1000万台以上と膨大だったことがありそうだ。
このほかアクセス数の多かった記事は「カメラ・モジュール」「電池」「有機トランジスタ」関連である。上半期には「ハード・ディスク装置」「光ディスク」「白色発光ダイオード(LED)」関連のアクセス数が多かったが,大きく様変わりした。
以下では各分野における記事を紹介しながら,下半期を振り返る。最後にアクセス数が多かった記事トップ10を発表する。なお上半期のトップ10を紹介する記事はこちら(【上半期トップ10】電子部品サイトを通じて,技術開発の「未来」を読む)。
CCD不具合問題に大きな反響
|
症例:コニカミノルタ提供
|
CCD不具合問題の騒動は,ソニーの10月3日の発表に端を発する。原因はいずれもCCD内部のワイヤ・ボンディングが経年劣化で接合不良を起こしたためとしている。原因が明らかになるにつれて,読者の方から「今回の出来事を教訓にすべき」といった主旨のコメントが寄せられるようになった。該当の記事に加えて,関連するブログ記事にもコメントが数多く届いている(
Tech-On!の関連記事1,
関連記事2)。
新製品や技術開発への関心も高い
|
142dBのダイナミック・レンジを達成
|
不具合問題に揺れに揺れたCCDカメラだが,撮像素子の全般動向として新製品や技術開発に関する記事にもアクセスが集中している。例えば人間の眼を上回るダイナミック・レンジを達成した学会報告が関心を集めたほか,京セラやソニーの新製品の紹介記事への関心も高かった。
多様化する電池の技術開発
|
ソニーが,フラーレンを利用して試作したダイレクト・メタノール型燃料電池向け電解質膜
|
電池関連の技術開発は,携帯機器向けからクルマ向けまで用途を問わず活発化している。これに伴って,記事で取り上げる技術の内容も多様化している。例えば燃料電池や2次電池,太陽電池などの話題を扱っており,いずれも高いアクセス数を記録した。業界動向としては,ホンダ(本田技研工業)が太陽電池市場に参入する話題が,エレクトロニクス業界の耳目を集めた。
脚光を浴び始めた有機トランジスタ
|
東京大学が試作した点字ディスプレイ。
|
ここにきて脚光を浴び始めている技術分野に,有機トランジスタがある。有機物は主に分子間力(ファン・デル・ワールス力)で結合しているため,Si結晶のような原子結合の物質よりも柔軟性に富んでいる。このため有機トランジスタを使うことで軽く,薄く,曲げられる電子デバイスが作製できると期待されている。テーマサイト「電子部品テクノロジ」においても,技術発表やメーカーの取り組み事例などを紹介した。
隠れた人気記事・・・それは「技術の流れを読む」
|
HDDの面記録密度の推移
|
Tech-On!では日々のニュース記事のほかにも,ブログや用語などのコラムなどを通じて情報を発信している。電子部品テクノロジに掲載したコラム「Tech-On!キホン シリーズ」もその1つ。第1弾となる『技術の流れを読む・HDD編』はアクセス数が高く,隠れた人気を誇っている。執筆は日経エレクトロニクスの伊藤記者が担当した。
CCD不具合問題がアクセス数トップに
以下に2005年7月1日~12月25日におけるアクセス・トップ10を掲載する。アクセス数トップは,CCD不具合問題に関連するものであった。関連記事を含めて4本がトップ10にランクインした。このほか燃料電池や「技術の流れを読む・HDD編』の記事もランクインしている。