第1部<チャンス到来>
次世代DVDに標準搭載の流れ
見えた年1億台市場

 既存のDVDに比べて記録容量が3~5倍強に達するBlu-ray DiscHD DVDといった次世代DVD。2007年後半には早くも普及期に入り,パソコン向けは2012年に約1億4000万台,AV機器向けは約6000万台の世界市場規模に,右肩上がりで成長する。この市場に向け,半導体メーカーは基幹部品である青紫色半導体レーザを拡充する。2010年に現在の100倍,年間1億個市場の奪い合いが,今,始まる。

第2部<技術で競う>
光ヘッドから基板まで
「安くて速い」を目指し大ナタ振る

 次世代DVD装置の低価格化や高速記録対応を実現するために構成部品である光ヘッド,光源の青紫色半導体レーザ,そしてレーザ材料であるGaN基板のすべてに対して大ナタを振る。高速記録には光ヘッドでは光学系の光利用効率を高め,レーザでは光出力を現在の2~3倍に高めるなどして対応する。低コスト化は,レーザの歩留まりを高め,さらにGaN結晶の生産効率を一気に上げて実現する。

第3部<レーザ開発者が語る>
210mW出力と寿命1万時間は
結晶中のひび割れ抑制から

 シャープは,Blu-ray DiscやHD DVDに向けた青紫色半導体レーザの量産を開始した。記録再生装置に向けた高出力品は,パルス発振時の光出力が210mWと大きく寿命は1万時間と長い。いずれも量産品としては現在,業界最高水準である。同社が高出力と長寿命を実現しながら量産にこぎ着けることができた生産技術を開発担当者に解説してもらう。(大久保 聡=本誌)