製品の使いやすさ(ユーザビリティ)やデザインを,よく知られた経験則(ヒューリスティックス)に基づいて評価する。この手法を,ユーザー・インタフェースの分野ではヒューリスティック評価と呼ぶ。この手法を用いて,Palm Preの使い心地を評価した。
評価の狙いは,製品を使っている最中にユーザーが出くわす問題点や,他の製品と比べた優位点を探り出すことにある。評価の一部は,製品の動作に関する予備知識を持たずに実施した。普通のユーザーは,製品を使う前に情報に目を通さないことが多いためだ。
Appleに倣ったパッケージ
全体として,製品のパッケージングは米Apple Inc.に触発された感があり,「Appleならこうする」といった雰囲気である。化粧箱は奥側の角を切り落とした形で,棚に並べたときに箱の表側を見せやすい。箱の表には,白地にPalm Preの写真をあしらっている。特にブランドの表示はなく,それがまた“Apple風”な味を増している。プラスチックのスリーブは半透明で,ぼんやり見える感じである。
Chirs:「ボクは半透明のスリーブが醸し出す,謎めいた感じが好きだな」
Stefan:「重要な情報を隠してしまっていると思う」
製品を収めた箱のふたはゆっくりと持ち上がり,がっしり作られた印象である。ふたの内側は鮮やかなオレンジ色の素材で覆われていて,ソフトな作りだ。目を引くし,出色の出来である。Pre本体は透明のプラスチックの皿に入って箱の一番上に置いてあり,製品がよく見える。また,ブランド名の付いた説明書が透明な皿の下に覗いて見える効果もある。ただ,Preがいともたやすく皿から滑り出してしまうので,箱を開けるときに何度も落としてしまった。