中国でスマートフォン向け電子部品の市場に参入するために何が重要なのか。こう問われた村田製作所の村田恒夫社長は、2014年末のトップインタビュの中でこのように語っている。「まず、MediaTek社の参照設計に自社製品が採用されることがとても重要です」。

 MediaTek社が、スマートフォン向けASSPの市場で他を圧倒する存在感を持つようになった。今では自社のASSP事業のみならず、他社が扱うさまざまな電子部品の売れ行きにも大きな影響を及ぼしている。日経エレクトロニクスでも、2015年1月5日号に「急伸するMediaTekの参照設計に入り込め スマホ向け部品商戦の要諦」と題して、こうした動きを分析する記事を掲載した。

 これまでにも同社は、DVDプレーヤ向けや携帯電話の山塞機向けASSPの供給で市場を席巻してきた。参照設計を提供することで、量産可能な製品を短期間で開発できるようにしたことが、成功の要因として挙げられている。ただし、これらの市場でASSPを供給するメーカーは多い。同社が勝ち抜けたプラスアルファの要因もありそうだ。そして、携帯電話機のプラットフォーマーとして、少なくとも新興国市場向けスマートフォンでは、Qualcomm社に競り勝っている。この事実は、欧米の企業との業界標準争いに不慣れな日本のメーカーには、学ぶべきことが多いように思える。

 今回のSCR大喜利では、「MediaTekの強さの源泉とその波及効果」と題して、MediaTek社の強みの源泉を考察し、そこから学べることを抽出することを目的とした。

【質問1】
MediaTek社の強さの源泉はどこにあり、日本の半導体メーカーは、同社からどのようなことが学べるのでしょうか?

【質問2】
MediaTek社が強みを持っている手法は、スマートフォン以外の機器開発の方法、電子業界の構造にどのような波及効果があるのでしょうか?

【質問3】
MediaTek社のビジネスの方法に死角があるとすれば、どのような部分でしょうか?

 回答者は以下の通り。

清水洋治氏
某半導体メーカー
「“誰でも機器屋”の仕掛け人が醸し出す凄み」参照

湯之上 隆氏
微細加工研究所
「市場への参入と展開で徹底する逆張り戦略」参照

いち半導体部品ユーザー氏
某ICT関連企業
「集める技術、提供する技術のバランスが絶妙」参照

大山 聡氏
IHSテクノロジー
「支持される製品を生み出す人材活用術」参照

表1●回答のまとめ
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