半導体業界では、これからの半導体市場の成長を牽引するアプリケーションとして、IoT(Internet of Things)への期待が高まっている。世の中のありとあらゆるモノをネットに接続するというそのコンセプトは、メインフレーム、ミニコン、パソコン、デジタル家電、スマートフォンと続く電子機器のダウンサイジングの流れの延長にあるように見える。

 しかし、さまざまなモノから収集した莫大な情報は、データセンターに集められ、ビッグデータとなって初めて価値の高いサービスが提供できるようになる。IoT関連のデバイスや機器が、ダウンサイジングの流れの中で進化してきたこれまでの製品と最も異なる点は、人々の目に触れる機器は表面的なものである点だ。価値を生み出すビッグデータが宿る実態は、Google社やAmazon社、Facebook社といったサービス・プロバイダが保有するデータセンターの中にある。

 IoT、ビッグデータを使ったサービスの発展に伴って、目に触れる機器に組み込まれるセンサーなどの市場の成長と同時に、データセンターで使われる半導体の市場も急激に伸びていくことだろう。しかし、端末向けの半導体に比して、その市場の実態や技術の動きが見えにくいのが現状だ。特に日本企業は、見えやすい端末の動きに目を奪われがちな傾向がある。

 今回のSCR大喜利では、「ビッグデータの棲家は半導体に何を求めるのか」と題し、なかなか見えにくいデータセンター向け半導体をどのように考えていったらよいのか、指針を洗い出すことを目的とした。回答者に投げかけた質問は以下の3つ。

【質問1】
データセンター向けデバイスの市場で、半導体業界の勝ち組となるのはどのような企業か?

【質問2】
パソコンやスマートフォンなど端末向けデバイスとデータセンター向けデバイスでは、そのビジネスモデルに違いがあるのか?

【質問3】
データセンター向けデバイス市場の成長は、半導体の設計・製造技術にどのような影響を与える可能性があるのか?

 回答者は以下の通り。

和田木哲哉氏
野村證券
「IBM連合を中心に動くビッグデータ、半導体業界にとっての新技術の実験場を創出」参照

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル
「もはやサービス・プロバイダも半導体業界の一部、そこでの開発環境の提供・整備支援に商機」参照

いち半導体部品ユーザー氏
某ICT関連企業
「データセンターには信用の醸成が欠かせない、同じことが半導体メーカーにも問われる」参照

大山 聡
IHSテクノロジー
「データセンター向け半導体の高信頼性と低消費電力性の要求は際限なく高まっていく」参照

服部 毅氏
服部コンサルティング インターナショナル
「データセンターでの独自性追求が、FPGAや新型不揮発性メモリーなどの台頭を誘発」参照

表1●回答のまとめ
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