半導体業界では、米Intel社によるファウンドリー事業への注力、韓国Samsung Electronics社と米GLOBALFOUNDRIES社のプロセス統合など、ファウンドリー事業への新規参入、体制強化に関わる話題が増えてきた。ファウンドリー最大手の台湾TSMCの半導体業界での影響力も大きくなる一方だ。ファウンドリーの勢力図やここでの技術開発のトレンドは、ファブレス半導体メーカーや日本の半導体メーカーなど利用するユーザー側と、製造装置や材料を供給するサプライヤー側の両方の関心事となっている。

 今回のSCR大喜利では、様々な半導体メーカーが外部ファウンドリーの利用やファウンドリー・サービスの提供を始め、そしてファウンドリー専業企業の存在感が大きくなっていく先に、どのような半導体産業の姿があるのか、見通すことを目的とした。そして、客観的な立場から半導体業界の動向をウォッチしている方を中心とする6人に以下の三つの質問を投げかけた。結果として、半導体業界はファウンドリー主導の水平分業とは違い、垂直統合が強化される方向に向かっているとする意見が多く寄せられた。

【質問1】将来、事業形態としてのIDMは消滅し、半導体産業はファウンドリーとファブレスに完全分業する方向に向かうのでしょうか?

【質問2】微細化や大口径化を進めていく上で、各ファウンドリーのプロセスは、独自性を保つべきでしょうか、それとも共通化を目指すべきでしょうか?

【質問3】半導体業界のプロセスが一本化し、世界標準プロセスが生まれる可能性があると思われますか?

 回答者は以下の通り。

和田木哲哉氏
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
「今あえて言おう、『IDMが再び重要な役割を演じる』と」参照

服部毅氏
服部コンサルティング インターナショナル 代表
「『ファブレス/ファウンドリーに水平分業すれば成功する』と考えるのは早計だ」参照

湯之上隆氏
微細加工研究所 所長
「IntelもSamsungも、力のある半導体メーカーはみなファウンドリーに」参照

清水洋治氏
某半導体メーカー
「半導体のニーズは、ひとつのプロセスではカバーしきれないほど多様だ」参照

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル(ジャパン) マネジャー
「半導体技術は変革期にある、プロセスでの独自路線追求を期待」参照

石野雅彦氏
アドバンスト・リサーチ・ジャパン マネージング・ディレクター シニア・アナリスト
「IDMでも、ファウンドリーでも、ファブレスでもない独自モデルが成果を上げ始めた」参照

表1●回答のまとめ
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