既にご承知いただいていると思いますが、本誌はことし、「シリーズ・強い工場」と題して日本の製造業、そしてその象徴である工場を応援するプロジェクトを推進しています。本号の特集1「コンパクトライン革命」は、1月号の「12人の鋼の工場長」、5月号の「スゴい最先端工場」に続く、同シリーズの大型特集第3弾。つ、ついに、工場の本丸、生産ラインの中に足を踏み入れました。

 すると、最先端の強い工場の生産ラインには、ある共通点があったのです。それが、特集のタイトルにある「コンパクトライン」に他なりません。もちろん、これまでにも生産ラインを小さくしたり短くしたりする動きはありましたが、私たちが今回取材した最先端のコンパクトラインは従来をはるかに上回る縮減率を達成しています。

 例えば、ホンダ寄居工場の塗装ラインは従来比60%。デンソーのアルミ鋳造ラインは設置面積で同20%。極め付きは、産業技術総合研究所が中心に開発を進めている新しい半導体生産ライン「ミニマルファブ」。現行のメガファブと比較してウエハー面積も生産量も投資額も全て1/1000というコンパクトさなのです。これはひょっとして、生産ラインにおけるセル生産以来の「革命」ではないか――。日本の生産ラインが今、大きく変わろうとしています。

 さて、本号から3回にわたって集中連載「シェール革命の真実」をお届けします。今さらご説明するまでもありませんが、シェールとは脆い堆積岩「けつ岩」のこと。最近になって、地中のシェール層の中にたまっていた天然ガスや原油を低コストで取り出す技術が確立され、米国を中心に新たなエネルギ源として脚光を浴びています。ただ、このシェールガス/オイルが日本の製造業にどのような影響を及ぼすのかという点については、あまり明確には語られていません。

 「そこを明らかにしたい」と、本誌記者としての使命感をメラメラと燃やし、取材に東奔西走したのが高田デスクです。まずは9月号で製造業全般への波及効果について述べ、続く第2回では樹脂などの有機材料や鉄鋼の供給への影響を、第3回ではクルマ社会への影響を解説します。話題のシェール革命を、高田デスクが「製造業」視点で切ります。どうぞ、ご一読ください。