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Silicon Valley Insight

Apple社の今後はクラウドにあり

  • Phil Keys=Analyst at Blue Field Strategies
  • 2013/04/05 00:00
  • 1/1ページ
普及しせずでサービスが終了してしまったApple社のSNS「Ping」
普及しせずでサービスが終了してしまったApple社のSNS「Ping」
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 2013年1月2日、米Apple社の株価格は549米ドルだった。2012年9月19日では702米ドルで、22%の減少したことになる。これが2013年3月27日になると、452米ドルにまで落ちている。ウォール街は、Apple社への信頼を明らかに下げている。

 Apple社の株価の急落の背景には、iPhone 5の売り上げが期待したほど大きくないことや、韓国Samsung Electronics社製のスマホの競争力が上がっている、といった報道記事が流れていることだと言われる。ある記事では、現在のApple社はイノベーションが足りなくなってきていて、業界が蘇る新製品を打ち出す必要があると指摘している。執筆者は、こうした発想はナンセンスだと思っている。家電業界の企業のほとんどは、Apple社の「イノベーション問題」があるなら嬉しいだろう。今のApple社の現象は、業界に革命を起こしたiPhoneの市場が自然的に熟成してきて、同社が今までに情報を厳しく限定してきたことに対する報道機関からの「しっぺ返し」ではないかと思う。

 間違いなく、Apple社は今後も多数の魅力的な製品を出荷するだろう。しかし執筆者は、Apple社の最も大きな挑戦は時代の変遷で、同社の伝統的なハードウエアとソフトウエアの組み合わせで優れているユーザー体験を提供する環境が、クラウド・サービスに移る。今後は、エンターテイメント系のクラウド・サービスだけでなく、ユーザー自身の情報を利用しながらユーザーに役に立つ情報を提供するクラウド・サービスも数多く出てくるだろう。

 こうしたサービスには、ユーザー・インタフェースだけではなく、優れているユーザー体験を支えるために有力なインフラが必要とする。Apple社の「Maps」が出荷された時、多数の問題を起こしたように、インターネット時代から生み出した米Google社と米Facebook社の方が、この分野で力があるという見方が少なくない。パソコン時代にルーツがあるApple社には、こうした企業が代表する競争が特に気になるだろう。

 実は、Apple社はオンライン・サービスに長い歴史がある。ただし、その歴史はいつも成功していたということではない。1994年には「eWorld」と呼ぶオンライン・サービスを開始したが、普及せず1996年に閉められた。最近ではiTunesとiPodの組み合わせがメディア配信に革命を起こしたが、オンラインの電子メールやデータ保存などの機能を持った「MobileMe」は評判が悪く、2012年に閉められた。2010年に出荷を始めたSNSの「Ping」(Tech-On!関連記事)も普及せずに、2012年に終了した。

 2011年にApple社が公開したクラウド・サービスは、ユーザーが魅力を感じる方向に進化する可能性を見せている。米SRI International社が開発した仮想アシスタントを基にした「Siri」(Tech-On!関連記事)は、業界では新しいジャンルのサービスとして優れている例であるとの評判を受けている。一方、iCloud(Tech-On!関連記事)は、これまでがApple社が提供してきたユーザー体験を支える機能を備えている、Apple社によると2012年12月29日時点でiCloud利用者のアカウント数は2億5000万以上だという。だが、この情報だけでiCloudのユーザーがどのぐらいに頻繁に使っているかは不明である。

 Apple社がiPhoneやiPadの携帯端末時代に入ってから、端末の魅力と優れている第三者の開発・ビジネス環境では、他社から見ると羨ましい第三者のアプリ及びクラウド・サービスの環境が育ってきた。このため、Apple社が開発したクラウド・サービスに欠点があっても、Apple社製端末のユーザーを満足させる第三者のサービスの選択肢が存在した。これが当分の間に続くだろうが、今ではApple社の競争相手も、ユーザーに魅力を感じさせ端末も提供している。有力なクラウド・サービスなら、Apple社の端末に限定せず、多数の端末を対応する。したがって、こうしたサービスを使うユーザーの視点で見ると、端末は置き替え可能な道具であると考える可能性がある。そうするとApple社は今後、自社のクラウド環境からユーザーが逃げてしまわないよう、クラウド・サービスを開発に力に入れるのではないだろうか。

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