Siri社,Founder兼CTOのTom Gruber氏
Siri社,Founder兼CTOのTom Gruber氏
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Siriのアプリケーションに「スター・トレックの映画をみたい」というタスクを尋ねている様子
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Siriの製品概要
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Siriの技術概要
Siriの技術概要
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 米サンノゼ市で開催されているセマンティック関連技術のイベント「2009 Semantic Technology Conference」の基調講演で,米Siri, Inc.,Founder兼CTOのTom Gruber氏は,同社(同社のWebサイト)が開発中の「Siri」と呼ぶ「仮想アシスタント」技術を紹介した。米研究開発企業SRI International社が開発した技術に基づくSiriは,声認識によってユーザーの希望するタスクを判別するクライアント・ソフトとWebサービスから構成される。「Siriで最も重要な機能は,ユーザーの自然言語を理解して,希望するタスクを絞ること」(Gruber氏)。

 Siriは,ユーザーが携帯電話機を使って,日常生活で頻繁に行う飛行機の到着時刻の確認やレストランの予約といったタスクを支援する。例えば,ユーザーがSiriのクライアント・ソフトに搭載した携帯電話機に,「ロマンチックなイタリア料理店を,今晩,2人で予約しろ」と話しかけるとSiriは,携帯電話機から取得したユーザーの位置情報やユーザーのスケジュール情報などの情報を組み合わせ,他のWebサービスと連携してユーザーの希望にかなえる。上記の例では,ユーザーのスケジュール情報から食事に使える時間を決め,レストラン評論のWebサイトやレストラン予約を行うWebサービスなどと連携して,ユーザーの希望に見合うレストランのリストを表示する。このリストからユーザーが選択して,予約を入れる。

 Siriの技術の詳細は未公開である。ただし同製品は,米国防総省高等研究計画局(DARPA)が主催した仮想アシスタント技術開発プロジェクト「CALO(Cognitive Assistant that Learns and Organizes)」向けに開発した技術に基づく。具体的にはセマンティック技術を採用する自然言語認識や個人のコンテクストを把握する技術がそれに当たる。

 Siri社の最初の製品は2009年中にベータ版を公開する予定のiPhone向けの無料アプリケーションである。同社はこの技術をプラットフォームとして利用することを検討している。例えば,同社,Founder兼CEOのDag Kittlaus氏は,家電製品をユーザーがセットアップしたり,操作したりすることを支援するアシスタント用途を考えているという。「例えば,クライアント側で,ユーザーがインターネットに接続するまでのセットアップを支援する簡単な情報を保存ができる」(同氏)。同氏によると,同社は既にこうした技術を完成するため数社の大手家電メーカと話し合っているという。