2012年は、スマートフォンなどのモバイル機器に向けたマイクロプロセサの競争がいっそう激しくなった1年だった。その激戦区に新たに参入する半導体メーカーがある一方で、一部の半導体メーカーは撤退の道を選んだ。また、パソコン/サーバー向けプロセサとモバイル向けプロセサのどちらも、半導体製造技術の微細化が1世代進んだ。

「MSM8960」を搭載した日本市場向けの「GALAXY S III」
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 モバイル機器向けのマイクロプロセサは、32nm/28nm世代の技術で製造する品種が一般的になった。米Qualcomm社は、ARMアーキテクチャ互換の独自CPUコア「Krait」を搭載し、28nm世代の技術で製造する「Snapdragon S4」シリーズの量産を開始した。ベースバンド処理回路を統合した「MSM8960」やアプリケーション・プロセサ単体型の「APQ8064」を搭載したスマートフォンが国内外で多数お目見えした(Tech-On!の関連記事1関連記事2)。

 韓国Samsung Electronics社は、32nm世代の技術で製造するCortex-A9コア搭載の2コア品「Exynos 4212」や4コア品「同 4412」を開発し(関連記事3)、自社のスマートフォンへの搭載を始めた。米Google社が2012年10月に発表したタブレット端末「Nexus 10」(Samsung社製)には、Cortex-A15コアを2個搭載する「Exynos 5250」を採用している。

Intelプロセサのスマホが登場

 モバイル機器向けプロセサの市場を虎視眈々と狙う米Intel社は、32nm世代の製造技術を適用したスマートフォン向けAtomプロセサ「Atom Z2460」を2012年1月に正式発表した(関連記事4)。このZ2460を搭載したスマートフォンを、中国Lenovo社や米Motorola Mobility社、中国ZTE社などが発売した。ARMアーキテクチャ(およびARMアーキテクチャ互換)のCPUが市場のほとんどを占めるスマートフォン向けプロセサにおいて、Intel社がどこまで巻き返せるかが注目される(関連記事5)。