景気の低迷で
将来展望の記事に人気

日経エレクトロニクス表紙

 2月19日に勃発したあさま山荘事件は日本国民をテレビにくぎ付けにし,90%弱という驚異的な視聴率を記録したといわれる。先行きへの不安からか,1972年に読者の参考になった記事の1位と2位は,いずれも将来展望の記事だった。1位の「70年代のコンピュータ総展望」は,サブタイトルの通り「学界・産業界の動きを通じて新方向を探る」記事である。アーキテクチャ,処理装置,記憶装置,周辺装置,ファームウエア,ソフトウエアに分類して1970年代の技術や市場の展望を述べ,最後は光化学スモッグや交通渋滞を生み出した自動車と比較しながらコンピュータ普及の危険性で締めくくった。

 参考になった記事の2位は「日本の47年度電子市場を展望する」だった。1972(昭和47)年度は景気の低迷や円切り上げの影響によるカラー・テレビなどの輸出環境悪化,米国メーカーの巻き返しによるICなどの輸入攻勢に遭った。その影響で,1972年度の電子産業の国内生産規模は対前年度比5.1%増と低成長になった。こうした悪条件の中で,電電公社や防衛庁需要の増大など生産拡大につながる動きが出てきたとも述べている。

1972年に読まれた記事 BEST 3
  1. 海外技術速報(7月17日号)
  2. 技術速報(1月31日号)
  3. 技術速報(7月17日号)
1972年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 70年代のコンピュータ総展望(1月31日号)
  2. 日本の47年度電子市場を展望する(4月10日号)
  3. 低消費電力IC,10nW台へ(2月28日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1973年:液晶ディスプレイの実用化 ――