【アーカイブ視聴】本連載の著者・大串康彦氏登壇セミナー「世界の蓄電池ビジネス、最新事例とプレーヤーを徹底解説」

 連載記事「蓄電池の地政学」の最終回となる今回は、蓄電池産業に関わる日本の動きを取り上げる。第1回で解説した通り、「産業強化」「カーボンニュートラル」「経済安全保障」の3つの側面から蓄電池産業をめぐる施策が欧米中を中心に活発化している。日本政府も2022年8月に 「蓄電池産業戦略」 を策定し、日本の蓄電池産業を強化する姿勢を示した。今後、日本の蓄電池産業は成長路線を描くことができるだろうか。過去の事例の分析も交えて考察する。

(出所:123RF)
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 2022年8月、経済産業省・蓄電池産業戦略検討官民協議会が「蓄電池産業戦略」を発行し、産業としてのビジョンや基本政策方針を示した。蓄電池産業戦略はマスタープランであり、具体的な施策は「蓄電池産業戦略推進会議」や、GX(グリーントランスフォーメーション)施策を検討する「GX実行会議」などで検討している。例えば、電気自動車(EV)や定置式蓄電池の推進は2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に盛り込まれている。

 蓄電池産業としての大目標は、①液系リチウムイオン電池の国内製造基盤の確立、②日本企業による製造能力目標を伴うグローバルプレゼンスの確保、③全固体電池などの次世代電池市場の獲得の3つだ(図1)。その上で、2023年12月15日に開催した第10回GX実行会議の資料「分野別投資戦略(案)」には、今後10年間で、電池製造に官民合わせて7兆円、蓄電池導入に3兆円という投資額が示されている。

日本の戦略目標は日本・世界での製造能力確保と次世代電池市場の獲得
日本の戦略目標は日本・世界での製造能力確保と次世代電池市場の獲得
図1●蓄電池産業戦略における目標(出所:経済産業省 蓄電池産業戦略検討官民協議会「蓄電池産業戦略」、2022年8月31日)

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