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 三菱UFJ銀行は6月、国内560の全拠点で使用する電力を再エネに切り替えた。スピードを重視し、非化石証書付き電力を選択した。こうした動きの背景には三菱UFJフィナンシャル・グループが5月17日に公表した「MUFGカーボンニュートラル宣言」の踏み込んだ内容がある。

MUFG経営企画部サステナビリティ企画室の渡辺陽室長(左)と三菱UFJ銀行総務部の諸川善太副部長(右)
MUFG経営企画部サステナビリティ企画室の渡辺陽室長(左)と三菱UFJ銀行総務部の諸川善太副部長(右)

 三菱UFJ銀行の再エネ電力への切り替えは、持ち株会社である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の「MUFGカーボンニュートラル宣言」に伴う具体的な動きだ。国内の金融機関が2050年のカーボンニュートラルを宣言するのはMUFGが初めてとなる。

 MUFGカーボンニュートラル宣言は、2030年までに自社の温暖化ガス排出量をネットゼロにし、2050年までに投融資ポートフォリオの排出量をネットゼロにするというものだ。

 後者は、国際的な組織「GHGプロトコル」のバリューチェーン排出量を指す「スコープ3」に相当する。自社だけでなく、投融資先まで含めた排出量をネットゼロにするという意味である。なお、スコープ1は自社で所有しているボイラーなどからの直接排出、スコープ2は電力会社から調達した電力による排出である。

 さらにMUFG は、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)が2020年 4 月に設立した「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」に日本企業として初めて参加することも明らかにした。

 宣言では、2021年度にグループの銀行、信託、証券の国内拠点の電力をすべて再エネ電力に切り替えるとしている。最初に着手したのが、三菱UFJ銀行の560拠点というわけだ。

菅義偉首相の2050年カーボンニュートラル宣言で国内の状況が一変

 カーボンニュートラルを宣言するに至った背景を、MUFG経営企画室サステナビリティ企画室の渡辺陽室長はこう説明する。

 「2020年10月に菅義偉首相が2050年カーボンニュートラルを宣言してから、国内の動きが大きく変化した。グローバルでもカーボンニュートラルを宣言する金融機関が出てきた。これまでも気候変動対策には注力してきたが、さらに加速させるべきだと考えた」。

 経営トップがカーボンニュートラルを宣言すると最終的に決断したのは、2021年に入ってから。それからは矢継ぎ早に方針を打ち出してきた。

 まず、4年1日にスタートした新たな中期経営計画の中心に、サステナビリティ経営を位置づけた。続いて、4月26日に環境・社会課題に対応する取り組み方針である「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」の改訂版を公表した。

 既にMUFGは新規の石炭火力発電所へのファイナンスは原則実施しない方針を打ち出しているが、今後は既設の石炭火力の設備の拡張にもファイナンスを実行しないとした。

 脱炭素が世界の潮流となってから、金融機関には環境団体などが厳しい視線を向けている。MUFG も例外ではない。今年3月には、環境NGO/NPOの「気候ネットワーク」のほか、国際的な環境NGOに所属するMUFGの個人株主が、気候変動に関する国際的な枠組みである「パリ協定」の目標に沿った投融資計画を策定・開示するよう求める株主提案を同社に提出している。

 MUFGは5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表するまでに、様々なステークホルダーとコミュニケーションを図ったという。

 「環境団体はもちろん、顧客や投資家などと対話をし、意見を聞いた。宣言の内容は、誰かの意見に引っ張られたというわけではない。あらゆる方に満足していただけるものではなかったかもしれないが、MUFGとしてパリ協定を達成し、脱炭素社会へスムーズに移行するにはどうしたらよいかを考えたものだ」(渡辺室長)。

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