電気料金を大幅に削減した企業の実例から成功のポイントを紹介する連載。今回取り上げるのは、売上高400億円の外資系製造業C社です。海外企業に買収された後、電力調達の抜本的な見直しを図りました。
 C社の年間電気料金は4億円でしたが、見直し後は10%に当たる4000万円の削減に成功しました。C社にとっての成果は、電気料金の圧縮以上に、これまで見過ごしていた業務のムダを洗い出せたことでした。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 もともとは国内メーカーだったC社は、M&A(買収・合併)により外資系企業として再生しました。買収後、経営効率化の一環としてコスト削減に取り組む中で、電気料金の抜本的な見直しに着手しました。

 まず、現状の電気料金を把握し、状況を分析しました。すると、驚くべき実態が次々と明らかになったのです。例えば、工場の稼働が最盛期の約半分に落ち込んでいたにも関わらず、電力の契約容量を変更しておらず、無駄な基本料金を支払い続けていたことが分かりました。

 自家用発電設備による無駄も判明しました。発電の用途が決まっていないのに、自家発を導入した当時に決めたスケジュールのまま、発電していたのです。

工場の稼働率が低下しても電力調達は手つかずでムダだらけ

 当初の計画は、工場のフル稼働を想定していました。その後、工場の稼働率は大幅に低下してしまいましたが、自家用発電機の最適化は行わず、電力を無駄に発電・使用していたのです。

 工場のこうした業務実態は、電力調達の抜本的な見直しに着手したことで初めて「見える化」できたのです。

 販売拠点についても同様に、電力調達の見直しを契機に、業務実態の見える化が図れました。全国各地に営業所が数百ありましたが、この見直し以前は電力使用状況どころか、営業所数や業務の実態すら把握すらできていなかったのです。

 しらみつぶしに調査を進める中で、自社看板の電灯など電力を使用する付帯設備が多数あることも分かりました。また、従来は電気料金の支払いなどの経理処理を各営業所単位で行っており、従業員がそれぞれに伝票を入力していました。コスト面はもちろんのこと、業務プロセス面でも無駄が多いことが浮き彫りになりました。

この先は日経エネルギーNextの会員登録が必要です。日経クロステック登録会員もログインしてお読みいただけます。

日経エネルギーNext会員(無料)または日経クロステック登録会員(無料)は、日経エネルギーNextの記事をお読みいただけます。日経エネルギーNextに関するFAQはこちら