脱炭素に資するスタートアップ「クリーンテック」が世界で大注目されている。巨額の資金調達に成功した事例も枚挙に暇がない。だが、そこに日本のスタートアップの姿はない。日本から世界で戦えるクリーンテックを創出するにはどうしたら良いのだろうか。

 クリーンテック分野の専門調査会社である米Cleantech Groupは1月13日、 「2022 Global Cleantech(GCT)100」を発表した。クリーンテックとは、脱炭素に資するスタートアップのことだ。GCT100は、クリーンテック業界の有識者が選ぶ、世界で活躍が期待できるスタートアップベスト100社リストの最新版だ。

 残念なことに、今年も日本のスタートアップは選出されなかった。GCT100が始まったのは2009年から14年が経過したが、日本のスタートアップがリストに名を連ねたことは1度もない。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 どうすれば日本からグローバルクリーンテックを創出できるのだろうか。そのヒントをさぐるべく、GCT100を受賞した企業の歴史を紐解いてみたい。

GCT100受賞企業は圧倒的に北米が多い

 受賞企業100社の地域別割合の推移を図1に示した。北米が平均62社とトップを独走している。

脱炭素を政策的にリードするのは欧州であるが、イノベーションでリードするは北米だ。北米のうち過半はシリコンバレーを中心に西海岸に集積する。脱炭素イノベーションの中心地もシリコンバレーだ。

 スタートアップ投資額が最も多い国は米国だ。シリコンバレーの人口は300万人だが、米国のスタートアップ投資マネーの半分が全人口の1%未満しか住んでいないシリコンバレーに投下されている。

 巨額な投資マネーを狙って、全米から、さらには世界から「世界を変えよう」とする起業家がシリコンバレーに集まる。リスクマネーを供給するVC(ベンチャーキャピタル)などの投資家は、スタートアップの成長を厳しく促す。シリコンバレーにはスタートアップをスケールさせる世界一のエコシステムがあるのだ。

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