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 再エネ電力の利用を検討する企業が急増している。サステナブル経営を標榜し、企業価値向上のために検討している企業が多いのはもちろんだが、抜き差しならぬ状況に追い込まれ、わらにもすがる思いで再エネへの切り替えにひた走る企業もいる。背景には、脱炭素への姿勢を問う環境団体や金融機関からの"圧力”がある。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 「住友商事投資家の皆様へ 住友商事の方針は依然、自らがコミットする2050年カーボンニュートラル化目標と整合していません」。

 これは住友商事の今年の株主総会前に、オーストラリアの環境団体マーケット・フォースが出した意見広告の文言だ。住友商事が海外で関与する石炭火力発電所や石炭鉱山などが批判の対象となっている。

 住友商事はかねて気候変動問題に対する方針を公表していたが、それでは手ぬるいと脱炭素の方針を定款に盛り込むことなどを求める株主提案とともに、意見広告を突きつけられた。住友商事は株主総会が迫る中、「気候変動問題に対する方針」を改訂。2040年代後半に石炭事業から撤退すると表明した。

 マーケット・フォースは今年、住友商事のほか、三菱UFJフィナンシャル・グループにも気候変動に対する方針の明確化や情報開示を求める株主提案を出した。MUFGには、日本の環境NGOである気候ネットワークなど、複数の環境団体に所属する個人株主が株主提案を出している。

環境団体の背後には機関投資家の存在

 ここ最近、環境団体に所属する個人株主が、大企業に対して脱炭素経営を求める株主提案を突きつけるケースがグローバルで急増している。米ゼネラル・エレクトリックや米デュポン、英豪リオ・ティントなど、社名を挙げれば枚挙にいとまがない。

 石油メジャーへの風当たりは特に厳しく、米エクソンモービルは、物言う株主が推薦する環境派の人物2人が社外取締役に就任した。さらに、英蘭ロイヤルダッチシェルは、温暖化ガスの大幅削減を求められた裁判で敗訴した。

 CO2排出量が多い企業や、石炭や石油などの化石燃料を取り扱う企業へは、環境団体からの指摘を逃れるのが厳しい状況になりつつある。環境団体の背後には、ESGを重んじる機関投資家の存在があるためだ。

 加えて、株主提案などのアクションを起こした環境団体だけが声を上げていると受け止めると、事態を読み誤る。

 住友商事の事例でいえば、マーケット・フォースに所属する個人株主による株主提案は、結果として否決されたものの、2割が賛同しているのだ。機関投資家を含めた他の株主もまた、脱炭素への姿勢を注視するようになったと見て間違いがない。

 既に、CO2排出量が多い国内大手企業の中には、海外の環境団体から脱炭素経営を求めるレターを受け取ったとろろが少なからず存在する。

 電力や熱を大量に使用する素材メーカーなどの製造業にとって、脱炭素への取り組みは一朝一夕にできるものではない。だが、将来に向けたメッセージをステークホルダーに発信していかなければ、企業価値を大きく落とす事態になりかねない。

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