一般海域における洋上風力発電の事業者を選定する入札の第2ラウンドが完了しました。2024年3月までに入札対象の4地域の落札事業者が公表される予定です。そして現在は第3ラウンドに向けた促進区域の指定が進んでいます。
 前回の再エネ特措法の振り返り(「FITを定めた再エネ特措法、改正を繰り返してきた10年間を振り返る」)に続き、今回は再エネ海域利用法の歴史を振り返ります。また、洋上風力関連法制の今後を展望します。

(出所:123RF)
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【質問1】 洋上風力発電の第2ラウンドの入札が2023年6月30日に締め切られました。洋上風力発電は、すべて入札制度の対象なのでしょうか。そもそも入札制度はどういった仕組みなのですか。

【回答1】 入札の第1ラウンド、第2ラウンドとは、2018年に制定された「再エネ海域利用法」(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)による公募を指す呼称です。同法の公募は年度単位で実施するため、2021年に事業者を選定した公募を第1ラウンド、今年6月30日に入札を締め切った公募を第2ラウンドと呼んでいます。

 現在、洋上風力発電事業を実施するために海域を占用する場合、いわゆる一般海域においては再エネ海域利用法の適用が原則です。一般海域とは、港湾法など特別な法律によって海域の占用手続きが定められている海域以外の海域を指します。

 一方、港湾法が定める港湾区域で洋上風力発電を実施する場合は、再エネ海域利用法ではなく、港湾法による占用許可を得て海域を占用します。港湾法には、洋上風力発電のための占用予定者を公募で選定する「占用公募制度」があります。2016年施行の港湾法改正で導入された制度で、北九州港および鹿島港において、改正港湾法による占用公募制度による事業者の公募が行われました。

 また、一般海域であっても、促進区域の指定に向けた検討が行われていない小規模な区域については、都道府県の条例に基づく許可により海域を占用することが可能です。

 「海域の占用手続き」という観点から現在の洋上風力制度を整理すると、①一般海域で再エネ海域利用法の公募制度の対象となるもの、②一般海域で都道府県の条例による占用許可によるもの、③港湾区域で港湾法上の占用公募制度によるもの--の3タイプに区分されます。ただし、規模などの観点から、①の再エネ海域利用法の公募制度が今後の洋上風力発電の導入において主流となるのは間違いないでしょう。

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