年明けから卸電力市場の価格低下が顕著だ。一方で2022年の燃料価格高騰のあおりを受けて電気料金は高いまま。今冬は政府の節電要請もあり、節電に励んだ需要家も多かった。実際は電力が余り、市場の価格シグナルは電力利用を促していたにもかかわらずである。このチグハグさは電力需給を不安定にする。
今年のJEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場は、年明けから3月まで冬場にもかかわらず全国的に低価格化が進んだのが大きな特徴だった。
1月については過去2年に比べて格段に価格水準やボラティリティー(変動性)が低い市場であったことは「過去2年とは様変わり、2023年1月の電力市場」で取り上げた通りだが、2月・3月はこの傾向に拍車がかかった。
2月と3月の市場価格を振り返っておこう。
九州エリアや西日本エリアでは電力需要が抑えられる土・日の日中時間帯に0.01円/kWhが出現する現象は1月下旬にも見られたが、2月はさらに平日でも0.01円/kWhが見られるようになった。東京を含む東日本エリアでも、日中は西日本エリアに引っ張られるように価格が低下した。
3月に入るとこの傾向はいっそう強まり、ついに3月11日(土)・12日(日)は週末とはいえ、全国的に日中価格はほぼ0.01円/kWhがついた(グラフ1)。
3月はその後、安値の波が平日にも押し寄せた。3月17日(金)渡しは、北海道・東北エリアの日中価格が他のエリアをリードして0.01円/kWhをつけた(グラフ2)。日中の電力市場における低価格化現象はこの時点で九州エリアだけの話ではなく全国規模になった。大きな変化がすさまじいスピードで起きた。
価格低下は日を追って顕著に
そこで、「就寝時間」「日中午前」「日中午後」「夕刻」「夜間」といった代表的な時間帯に絞って、エリア別に1月からの価格推移を時系列に並べてみた(グラフ横軸の赤字の日付は日曜日)。
九州エリアは1月も祭日や週末の日中に時折、0.01円/kWhが見受けられたが、2月は中旬以降で恒常的に見られるようになった(グラフ3)。関西エリアでは2月に入って週末の日中を中心に0.01円/kWh相場が現れ始め、3月になると恒常化してきた(グラフ4)。
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