太陽光発電などの変動性再生可能エネルギー(VRE)導入で日本のトップを走る九州は、出力制御の実施でも先行している。再エネの拡大に不可欠な出力制御の価値と運用実態について、九州電力送配電・運用計画グループの平島晋一課長に聞いた。
——前編の 「再エネ先進地・九州 太陽光の大量受け入れはこうして実現した」 は、火力発電の低負荷運転とDSS(Daily Start and Stop)運転、関門連系線、さらに揚水発電などを活用して多くの太陽光発電を受け入れているというお話でした。それでも電力が余ってしまう分については太陽光の出力制御をしているのですね。
平島氏 その通りです。「再エネの出力制御」というと、ネガティブなイメージを持たれてしまうことが多いのですが、出力制御をすることで太陽光の接続量と発電量を増やすことができるという利点があります。
図1に示すように、太陽光の接続量を増やすと、晴天時などに出力制御が必要になることは確かにあります。しかし、接続量を増やした結果として、赤い斜線の分だけ太陽光の発電量が増えるのです。同じように右側の曇りの場合でも、赤い斜線の分だけ発電量が増えます。つまり、出力制御を前提として接続量を増やすことで、全体で見れば太陽光による発電量が増加するのです。
出力制御をしている瞬間だけを見れば「せっかく発電できるのにもったいない」と思えるかもしれませんが、出力制御ができないと太陽光の接続量自体が制限されるというデメリットが生じます。「出力制御の仕組みを入れることで太陽光の導入量も発電量も増やせる」という点をぜひご理解いただきたいです。
2022年の出力制御率は4〜5%
——出力制御を導入することで再エネの接続量も発電量も増やせるというのは、広く理解されていないと思います。ところで、これまでに再エネの出力制御をどの程度実施してきたのですか。
平島氏 九州本土で再エネの出力制御を初めて実施したのは2018年10月です。出力制御量が発電量に占める割合のことを「出力制御率」といいますが、2018年度の出力制御率は0.9%。2021年度は3.9%で、2022年度は4〜5%程度を見込んでいます。出力制御の回数で言えば、2018年度は26回でしたが、2021年度は82回となっています。
2018〜2021年度までは、九州エリアのみで再エネの出力制御が行われていましたが、2022年度からは、北海道・東北・中国・四国エリアでも始まっています。
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