世界経済フォーラムの協力と、官民の連携で開催される国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」(主催:文部科学省、スポーツ庁、文化庁)。2016年10月に開催されるこのイベントは、スポーツ・文化芸術の発展による新たな産業の創出や、スポーツ・日本古来の文化(道)の魅力、成長戦略と連動した日本ブランドなどを海外に積極的に発信することを目指している。その取り組みは、対日直接投資の拡大につながるという期待も大きい。
例えば、文化庁では2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に「文化芸術立国」を目指すプログラムを実施する。全国で20万件のイベント、5万人のアーティスト、5000万人の参加を目指す。
今回のスポーツ・文化・ワールド・フォーラムは、日本で開催が相次ぐ大型スポーツイベントをキッカケにした、こうした取り組みのキックオフ会議である。「“日本”を世界に向けて発信する」をいかに具体化していくか。「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム リーダー」として準備にあたる藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)のインタビュー最終回は、今回のフォーラムの課題や意義について聞いてみた。(聞き手は、上野 直彦=スポーツライター)
価値観を共有したメンバー、ダイバーシティ重視
―― 先日開催した「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」(以下、ワールド・フォーラム)のアンバサダー就任式では、登壇した4人全員が女性で目を見張るものがありました。今回のフォーラムでは女性の活躍をどう捉えていますか。
藤沢 就任式については全く性差のことは考えておらず、たまたまです。実は、ワールド・フォーラムを開催するにあたり、行動規範をつくりました。その最初がダイバーシティー(多様性)です。
女性、男性、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字)、国内、国外、年齢も、準備室の中では役人だろうが、民間人だろうが、ダイバーシティーを大事にしています。関連するテーマをワールド・フォーラムの中で取り上げて議論するよりも、そういう価値観を共有したメンバーがつくり上げることできっとダイバーシティーの重要性が伝わるものになると考えています。
―― 会期中にスポーツ大臣会合が開催されるそうですが、どのようなテーマが取り上げられる予定でしょうか。
藤沢 今、世界の国際会議では、開発と平和のためのスポーツが注目されており、日本政府はスポーツを通じた国際貢献事業として「Sport for Tomorrow」を世界的に公約し、日々実践しています。世界でもUNESCO(国連教育科学文化機関)主催の「MINEPS」(体育・スポーツ担当大臣等国際会議)をはじめ、国際的な場でスポーツの議論がとても増えています。スポーツの力というものを、今回のワールド・フォーラム期間中のスポーツ大臣会合で日本から発信し、国際的なフォローアップをして、今後につなげていくような具体的な議論をしていく予定です。