ガソリンや軽油といった従来の燃料に,バイオ燃料などの代替燃料を任意の割合で混合できる車両のこと。いわゆる代替燃料車。

 一般にFFVは,代替燃料の混合率に合わせて燃料の投入量や投入タイミングを調整することで,エンジンを幅広い混合率に対応させている。対応する混合率の幅は車種により異なる。例えば,ガソリン90%,エタノール10%で構成する燃料に対応する車種は「E10対応車」,エタノール85%,ガソリン15%で構成する燃料に対応する車両は「E85対応車」と呼ばれる。エタノール100%の燃料に対応できる車種もある。

 FFVの利点は,バイオ燃料などCO2排出量が少ない燃料を使える点である。植物由来のエタノールやメタノールなどのバイオ燃料は,車両走行時だけでなく精製時なども考慮した場合に,他の燃料に比べてCO2排出量が少ない。

 バイオ燃料の問題点は,供給量に限りがあること。バイオエタノールは2020年でも世界全体のガソリン消費量の10%未満,バイオディーゼル燃料は軽油消費量の5%未満にとどまるとの予測もある。