「サステイナブル・モビリティー(持続可能な交通社会)の実現に向けて,チャレンジしないことが最大のリスクだ」——。トヨタ自動車が2006年6月中旬に開催した「トヨタ環境フォーラム」で,同社 代表取締役社長の渡辺捷昭氏はこう力説した。ラテン語で「先駆け」を意味するハイブリッド車「プリウス」を発売してから間もなく10年。その累計販売台数は2006年4月に全世界で50万台に達し,「エスティマハイブリッド」など他の車種も合わせると60万台を超えた。同社は今後も他社に先駆けるべく,環境対応技術の開発と環境対応車の展開をさらに推進する方針を発表した。その一方で,これらを実行するには電池などエレクトロニクス技術の進展が不可欠であることが浮き彫りになった。

 トヨタ自動車が今回掲げた課題は,(1)CO2の削減(地球温暖化対策),(2)大気汚染の防止,(3)エネルギーの多様性への対応,の三つ。これらの根本にあるのは,クルマの燃料は当面,石油が主流との見方である