next generation network

 従来の電話交換機による電話網ではなく,ルータによるIPネットワークを使った「次世代ネットワーク」のこと。電話サービスだけでなく,映像配信をはじめとする多様なサービスを提供する,いわば統一ネットワークである。

 NGNの基本概念は,ITU-Tの勧告「Y.2001」の「General Overview of NGN」が定義している。その内容は,「ブロードバンド・アクセス回線と大容量のコア網による,端末間の通信サービス品質(QoS)の保証ができるネットワーク」「パケット通信による,複数のサービスを統合できるネットワーク」「パケット転送とサービス制御の各機能を分離したネットワーク」「他事業者との相互接続できるネットワーク」「ローミングとハンドオーバーを実現できるネットワーク」である。NGNは,移動体通信でIPネットワークを利用したマルチメディア通信を実現するための規格IMS(IP multimedia subsystem)をベースとしている。

 NGNでは,あらかじめユーザーの所在や端末の性能や種類,状態(プレゼンス情報),提供されるコンテンツ/サービスの内容をキャリアのネットワークが把握しておく。その上で,実際にサービスが利用されるごとに,サービスの内容や端末に応じて,ユーザーに最も近い位置にあるキャリア側のノードであるエッジノードが,通信チャネルや容量を最適なものに切り替える。IPベースの固定網にこうした機能を付加し,サービス内容に応じた課金を可能とするため,サービス提供プラットフォーム(SDP)と呼ぶ機能を定義する。ユーザーあるいは端末の属性に基づいた認証や決済,サービス分析機能をつかさどるサーバ機能が含まれる。

 NGNでは通信事業者は機器メーカーと協力する形での端末の開発が必要不可欠となる。キャリアが用意するサーバやネットワークと,端末が連携して動かなければ新しいサービスが実現できない。例えば,映像配信サービスを実現するには,ネットワークと機器が連携しながらデジタル著作権管理(DRM)を保証できる仕組みを用意する必要がある。

図 ネットワークと端末が連携
図 ネットワークと端末が連携(日経エレクトロニクス2006年3月27日号より抜粋)