直径が1mm程度の球状Siを並べてつなぎ,太陽電池とするもの。専用の製造装置を使って,溶融したSiを滴下すれば球状Siを作れるため,既存の平板の太陽電池のようにSiインゴットから切り出す際の切りしろ部分が発生しない。この製造工程の違いなどから,Siの使用量を削減できるとする。多結晶Si太陽電池ではSi材料の不足とそれに伴う価格上昇が顕著になっている。球状Si太陽電池は,こうした危機を打開する技術として注目を集めている。

 ただし球状Si太陽電池は,平板の太陽電池に比べて発電効率が低いという課題があった。それを補うために球状Siをたくさん敷き詰めると,Si使用量の削減効果が減るだけでなく,隣接する球状Siによって光が遮られる恐れもある。集光型球状Si太陽電池の場合,反射板を使って光を集めることで,この問題を解決している。例えば,直径1mmの球状Siを,直径2.2mm~2.7 mmの6角形の茶碗型反射板の中央に配置して光を集めて発電する。この結果,セル変換効率11.7%を実現しながら,Si使用量を1/5に減らすことができるとするメーカーもある。反射板を厚さ数百μmのAl合金箔と絶縁シートで構成すれば,「割れない」「曲げられる」といった色素増感型など薄膜タイプの太陽電池のような特徴を持たせることもできる。

図 フジプレアムが発表した集光型球状Si太陽電池モジュール
図 フジプレアムが発表した集光型球状Si太陽電池モジュール (日経エレクトロニクス2006年1月2日号より抜粋)
モジュールの写真:フジプレアム,球状Siの断面図も同社の資料を参考にした