正極にNi(OH)2,負極に水素吸蔵合金,電解液に導電率が高いKOHなどを主成分にするアルカリ水溶液を用いた2次電池。この電池の活物質は水素で,充放電では水素吸蔵合金での可逆的な水素の吸蔵/放出反応を利用する。充電時は水の電気分解反応により生成した水素が水素吸蔵合金に吸蔵される。一方,放電時には吸蔵されていた水素がOH-と反応し水に戻る。電池全体で見ると,負極の水素吸蔵合金と正極のNi(OH)2との間で水素原子が移動しているので,電解液の量や組成が主に変化がないという特徴がある。主にデジタル・カメラ,携帯音楽プレーヤなどの携帯機器やハイブリッド車などに利用されている。

 Ni水素2次電池は,Ni-Cd2次電池よりも小型で高容量ということで,携帯機器分野で適用されていた。しかしNi水素2次電池よりも高エネルギー密度,メモリ効果が少ないといった特徴を持つLiイオン2次電池の登場により,現在はその座を奪われてしまっている。代わりに乾電池の置き換えを狙うNi水素2次電池を三洋電機や松下電器産業が2005年秋に相次いで発表した。いずれも自己放電を抑え,充電した後1年放置してもすぐに使えるというものである。

 ハイブリッド車では,コスト面や性能面からLiイオン2次電池よりもNi水素2次電池が採用されている。ただしここ最近では,Liイオン2次電池の改良が着々と進み,車載用として使えるメドが立ち始めている。性能面では,これまで問題とされていた低温での出力密度や高温での保存性といった温度特性に加え,寿命や安全性に関しても実用レベルに達しているという。残る最大の問題はコストだが,量産効果によって材料などのコスト低減が進むと見られている。