半導体製造 プロセス技術や工場の動向を知るための
 

【セミナー報告】次世代パワー半導体、材料からデバイスまでを産総研が解説(最終回)

大下 淳一=日経BP半導体リサーチ
2013/08/09 09:00
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 2013年6月28日に日経エレクトロニクスが主催したセミナー「NE先端テクノロジーフォーラム 次世代パワー半導体のインパクト」(協賛:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン)から、産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長を務める奥村元氏の講演を、日経BP半導体リサーチがまとめた。今回はその最終回(第1回第2回第3回第4回)。
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 パワー・デバイスを開発するに当たって、通常、最初に設計するパラメータは耐圧である。まずは材料の特性ではなく、デバイス構造によって耐圧を確保することを考える。次に、構造上の工夫によってオン抵抗の低減や大電流化を試みる。例えばオン抵抗1mΩ、電流容量100Aといったターゲットを設定するわけである。

 そして、これらの特性を両立させる方法を考える。従来のワイドギャップ半導体デバイスでは、これが難しい課題だった。例えば、GaNデバイスでは耐圧と電流コラプスのトレードオフがよく知られている。SiCでは、チャネル移動度とゲート酸化膜の寿命、耐圧/オン抵抗と破壊耐量などの両立が難しい。これらのトレードオフを用途に応じて最適に設計し、さらに信頼性を確保できて初めて、実用化に近づくわけである。

 加えて、「信頼性」と一言で言ってもその内容は多岐にわたる。当初は歩留まりや短期故障の問題があり、設計通りの初期性能が得られたとしても、その後に特性変動の問題が出てくる。これはデバイスを使ううちに特性が変わっていく現象であり、GaNデバイスでもSiCデバイスでもしばしば見られる。さらに、どれくらい無理な使い方をしても耐えられるかの指標として「破壊耐量」があり、パワー・デバイスでは非常に重要である。その先には、ゲート酸化膜の長期寿命などの問題が待ち構えている。これらをすべてクリアしなければ、使えるものにはならないのだ。

実装技術の重要性が増す

 図1に示したのは、従来型デバイスからワイドギャップ系デバイスに変更することで、インバータの電力損失がどのように変わるかである。従来、インバータの電力損失の大半は素子の損失(導通損失とスイッチング損失)だった。ところが、ワイドギャップ半導体を使うと素子損失を極めて小さくできるために、素子以外の損失が見えてくる。今後のインバータ開発では、素子損失以外の損失を改善することが大きなポイントになるわけだ。

図1●素子革新によるインバータ損失の変化
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 図2に、インバータの特性を左右するデバイス側の要因を整理して示した。さまざまな要因が相互に関連していることが分かる。インバータの設計を考える上ではこれらの要素を踏まえた全体設計が重要であり、素子だけを取り出して議論することはできない。

図2●インバータ特性を決めるデバイス要因
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 こうした観点からこの先、重要性を増してくるのが高温実装である。Si半導体ではなかなか使われなかった高温の接合温度を想定した使い方であり、素子周辺の耐熱性を意識した実装技術が必要になる。高温実装にかかわる技術課題を図3に示した。動作時の耐熱性だけでなく、組み立て時の耐熱性や周波数依存性の考慮も欠かせない。回路として使うために必要な温度サイクル特性やパワー・サイクル特性を満たすことも重要な要件となる。

図3●高温実装実現に向けた技術課題
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