東芝は2015年5月18日、長崎大学と同社が共同開発したエボラ出血熱迅速検査キットが、同年4月下旬から西アフリカ・ギニア共和国で活用されていると発表した(東芝のリリース外務省の関連リリース)。日本政府が緊急支援としてギニア政府に無償供与したものである。

 長崎大学 熱帯医学研究所 教授の安田二朗氏と同助教の黒崎陽平氏が2015年4月下旬にギニアに派遣され、検査キットの使用に関して技術指導した。現地でのエボラ撲滅キャンペーンにも協力したという。これら一連の支援は、長崎大学が2015年3月に現地で行った実証試験の結果を評価したギニア政府からの要請を受け、外務省が決定したもの(関連記事1同2)。

 今回の派遣では、安田氏と黒崎氏が国立ドンカ病院(ギニア共和国コナクリ市)で、検査キットの使用に関して現地スタッフに技術指導した。4月24日からは、コヤ県コヤ市で開催されたエボラ撲滅キャンペーンに参加。エボラ出血熱疑い患者から採取した実検体の野外検査を、移動式の検査車両で検査キットを使って行った。

 ギニア政府はエボラ出血熱の終息に向けて「強化緊急衛生宣言」を発出し、3月28日から45日間にわたるエボラ撲滅キャンペーンを実施。コヤ市でのキャンペーンもその一環として実施された。

 現在、西アフリカのエボラ出血熱は終息の方向に向かっているが、ギニアやシエラレオネでは現在も大西洋側地域を中心に週に10~20人の新規感染者が報告されており、予断を許さない状況が続いている。6月には雨期に入り、衛生状態が悪化することが懸念されることから、雨期に入る前に新規感染者をゼロにすることが急務となっているという。現地導入された検査キットが「エボラ対策の即戦力として有効活用されることを期待している」(東芝)。