エボラ診断ラボ内での現地スタッフと黒崎氏(写真:東芝と長崎大)
エボラ診断ラボ内での現地スタッフと黒崎氏(写真:東芝と長崎大)
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患者検体からウイルス遺伝子を抽出する現地スタッフ(写真:東芝と長崎大)
患者検体からウイルス遺伝子を抽出する現地スタッフ(写真:東芝と長崎大)
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 長崎大学と東芝は、西アフリカ・ギニアで実施したエボラ出血熱検査試薬の実用性評価において、同試薬の優位性を確認した(リリース)。既存の検査法であるリアルタイムRT-PCR法と同等の判定精度を、平均11.2分と約1/6の時間で実現できたという。

 両者は長崎大学 熱帯医学研究所が開発したエボラ出血熱検査試薬の実用化に向けて、実検体を用いた実用性評価を2015年3月にギニアで実施した(関連記事)。

 この実用性評価は、長崎大学熱帯医学研究所 教授の安田二朗氏と同助教の黒崎陽平氏が担当。安田氏らは2015年3月16日に国立ドンカ病院(ギニア共和国コナクリ市)を訪問し、エボラ出血熱患者から採取した実検体による検証実験を同月17~24日に行った。検査機器や試薬、防護服は日本から輸送し、コナクリ市内および郊外のエボラ治療センターなどから集めた100検体(陽性47検体、陰性53検体)について、現地で採用されているRT-PCR法と比較試験した。

 この結果、新検査法による判定結果は、高い判定精度を持つRT-PCR法の結果と100%一致した。陽性の判定にかかる平均時間はRT-PCR法の約1時間に対し、平均11.2分で済んだ。判定中には停電が発生したものの、新検査法は電池を内蔵する装置を使うため、影響なく検査を実施できたという。今回の結果は、3月26日に開催されたギニア政府によるエボラ対策会議でも高い評価を得た。

 エボラ出血熱の新規患者数は現在、ギニアだけでも50~100例/週で推移しており、流行の収束に向けて予断を許さない状況だ。今回の新検査法が現地で導入されれば、西アフリカでの「エボラ出血熱の収束に貢献できると確信している」(東芝)。